リサーチ

2016.05.11

これからの人材育成はOFF-JTが主流に

育成の手間や指導者不足も解消

自社内での人材育成が困難だと感じる企業は年々増えている。そこで注目を集めているのが社外での人材育成を行う「OFF-JT」だ。

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厚生労働省実施の平成26年度「能力開発基本調査」によると、能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は 75.9%と前年(70.7%)から増加している。内容は、「指導する人材が不足している」(52.2%)、「人材育成を行う時間がない」(48.8%)がトップ2を占めた。
 
この解決法として、OFF-JTや自己啓発支援により社外での人材教育を行う企業が増えてきている。OFF-JTとは、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練のことで、「Off The Job Training」の略語だ。
 
人材育成に関して、企業の「今後3年間」の見込みは、正社員に対するOFF-JT、自己啓発支援ともに、「増加傾向」とする企業割合が高くなり、OFF-JTでは37.3%、自己啓発支援では27.5%となっている。また正社員以外でも、数字はやや落ちるものの、増加傾向にあるということがわかっている。
 
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また、OFF-JTの満足度は軒並み高い評価を得ており、正社員では「役に立った」が50.3%、「どちらかというと役に立った」が44.2%となり、肯定的意見が94.5%であった。正社員以外でも同様で、「役に立った」が58.1%、「どちらかというと役に立った」が37.6%と、肯定的意見が95.7%と圧倒的だ。
 
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受講者におおむね好評のOFF-JTも、企業側にとってはコスト面で課題があるようだ。OFF-JTにおける外部機関利用での問題点の内訳でも、「費用が高い」が一番の理由として挙げられている。
 
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しかし、労働者1人あたりのOFF-JT及び自己啓発支援に支出した費用は平均1.4万円。これを人数分出資するとなれば、もちろん安い額ではないが、「人材育成をしてくれる人材」を自社で雇うよりはるかに安く、効率もよい。そして未来の投資になるのであれば、企業側はこの程度のコストは惜しまず活用すべきではないだろうか。
 
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今後、OFF-JTを利用する企業は実際増えるだろう。時間もコストも余裕がないからこそ、必要な分だけアウトソーシング(外部委託)する。これが人材育成のスタンダードになっていくのかもしれない。
 
 
 
【出典】平成26年度「能力開発基本調査」(厚生労働省)をもとに作成

 

作成/MANA-Biz編集部