思考力

2016.05.24

会議の返答が遅い人は仕事も遅い!

スピード思考術1:思考のスピードアップは型にハマること

会議の答えは5秒も待てない

「競合に打ち勝つ良い方法は何かないかな?」あなたが会議で上司に答えを求められたとき、どれくらいの時間なら待ってもらえるでしょうか。5秒以上沈黙が続くとイライラすると思います。つまりその時間でなんらかの答えを出さないと“何も考えていない人”という烙印を押される可能性があるわけです(多少オーバーですが・・・)。

 
5秒で会議の質問に対して返答できない人は、考えるスピードが遅く、社内で「仕事が遅い」と言われている可能性があります。私が思うに仕事が遅い人は、主に3つの悪い思考パターンに陥っています。
 
1. 迷わなくていいところで迷っている(あれこれ考えがコロコロ変わる)
2.どうでもいい部分に時間をかけている(詳細に拘るが、本質をつかめていない)
3.相手の求めているものがわかっていない(資料や提案のやり直しが多い)
 
自分の仕事を振り返ってみてください。時間がかかっている原因が、この3つのパターンのどれかにハマっていないでしょうか。
 
 
 

思考のスピードが速い人は
3秒で選択肢を出し、2秒で決めている

それではどうすれば思考のスピードが速くなるかというと、「選択肢を出すこと」と、「決めること」を分けて行えばいいんです。例えば5秒で返答する場合、3秒で選択肢を出して、2秒で決めるという感じです。「そんなのよっぽど賢くないと…」と思うかもしれません。
しかし思考の速さは、単なる頭の良さではありません。考えるための「型」つまりお決まりの順番があるわけです。
 
たとえばレストランのシェフは料理の「型」、つまり「レシピ」を持っています。レシピをたくさん知っていると、料理を作る時間が速くなり、質も最高になるわけです。逆に型を知らないと圧倒的に時間がかかってしまいます。柔道や茶道はもちろんのこと、あらゆる技術には型がありそれを身につけると、単にスピードが速くなるだけでなく、質も高くなるわけです。
 
ところが仕事となると、この「型」について考えない人が多いのではないでしょうか。思考の型、資料作成の型、コミュニケーションの型、会議の型・・・。なんでもその手順でやればうまくいくという順番は存在します。
そのように言ってしまうと、「型と言っても私は自分のやり方でやりたい!」「型にはめるなんてクリエイティブじゃない!」と思う人もいるでしょう。さてこのあたり、どう考えればいいのでしょうか。
 
「型」は先人たちが積み上げてきた“うまくやるための手順書”です。どれだけ独創的な仕事をする人でも必要で、「型」をベースにアレンジするからできるのです。その道の一流の人で型を身につけていない人はいないのではないでしょうか。そのうえで自分の個性をだしているわけです。
 
茶道や武道に「守破離(しゅはり)」という言葉があります。これは「型をまずは守り、身につけてから型を破り、最終的には型から離れていってオリジナルになる」という意味です。型ある人が型を破ることを型破りといい、型のない人が型を破ることを型(形)無しと言います。それではスピーディーに自分の考えをまとめて整理するにはどうすればいいのか。次回からは、思考のスピードをあげるための型についてお伝えしていきたいと思います。
 

下地 寛也(Shimoji Kanya)


コクヨ㈱入社後、行動と環境(創造性、コミュニケーション、場のあり方等)に関する研究・分析を担当。2003年より、クライアントの企業変革のコンサルティングや研修コンテンツ企画を担当する。著書『コクヨの3ステップ会議術』(中経出版)、『コクヨの1分間プレゼンテーション』(中経出版)、『コクヨの5ステップ ロジカルシンキング』(中経出版)、『コクヨの「3秒で選び、2秒で決める」思考術』(中経出版)、『コクヨのコミュニケーション仕事術』(総合法令出版)



イラスト/フクイヒロシ