思考力
2016.06.14
すぐに答えが出せる人の頭の使い方
スピード思考術2:答えの有力候補と評価を分けて考える
答えを出す前に
進め方を決めよう
前回のコラムで、5秒で答えを考えられる人は、3秒で選択肢を出し、2秒で決めているという話をしましたが、そういった思考のスピードが速い人は、「答え」を考えることと「進め方」を考えることを頭の中で分けています。
A) 答え(何がいいかな?)
B) 進め方(何をすべきだろう)
このふたつを混同してしまうと、答えを出すのが遅くなってしまします。思考の速い人は、「はじめにコレ、次にコレ、最後にコレをすればだいたい『答え』にたどり着くんじゃないかな」と「進め方」に関してはうまく「型」を活用して考えています。
たとえば資料を作るとき、どのような流れの資料にしようかと構成から考える人もいれば、いきなり内容から作りはじめる人もいますが、いきなり内容を作りはじめるより、全体構成を考えて目次から考える、つまり「型(フレーム)」から考えるほうが、資料づくりはスムーズに進みます。
「来週の会議の持ち時間は15分なので提案資料の枚数は10~15枚くらいかな。そうすると構成は、問題提起を約3~5枚、提案概要を2~3枚、実行計画案で5~7枚くらいかな」とまず考えます。それから「問題提起はどのあたりを盛り込もうかな」「提案概要は何を言えば響くかな」と内容を考えるようにしていきます。
思考するときも同じで「答えを出す前に、どのような順番で取り組むか?」、進め方を考えることが大切なのです。
選択肢と評価軸を明確にすれば
答えに迷わない
進め方が決まったら、次に大切なのは答えの選択肢を探すことです。答えの候補はひとつとは限りません。ですから有力そうなものをいくつか頭に置いておかなくてはいけません。その数は多くて7個くらいでしょう。「マジックナンバー7±2」といって、人間の頭はそれくらいの数しか覚えられません。できれば3~5個くらいの方が選択肢の優劣を判断しやすいでしょう。
思考がスピーディーな人は、答えの選択肢を出すフェーズと選択肢を評価して決定するフェーズを明確に分けて考えています。選択肢を出すときはそのことだけに集中して、どれが良さそうかといった判断は後回しにする。そして、必要な候補が見えたところで、「どのような評価軸(判断基準)で決めるのか」を考えて、最終案を決定します。
まずは進め方を考えてから、その内容を考える。そして答えの選択肢を出してから、評価軸で比較しながら意思決定をする。このような「型」を持つことで、あなたの思考のスピードはより速くなります。
下地 寛也(Shimoji Kanya)
コクヨ㈱入社後、行動と環境(創造性、コミュニケーション、場のあり方等)に関する研究・分析を担当。2003年より、クライアントの企業変革のコンサルティングや研修コンテンツ企画を担当する。著書『コクヨの3ステップ会議術』(中経出版)、『コクヨの1分間プレゼンテーション』(中経出版)、『コクヨの5ステップ ロジカルシンキング』(中経出版)、『コクヨの「3秒で選び、2秒で決める」思考術』(中経出版)、『コクヨのコミュニケーション仕事術』(総合法令出版)