リサーチ
2016.06.01
"役に立たない" 英語教育が足かせに
グローバル志向に必須な「聞く/話す」スキル
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日本でのグローバル人材の需要はますます増えているにもかかわらず、若者の海外志向は過去最低になっている。「グローバル志向」になるためには何をすればいいのか。
日本人は英語が話せないとよく言われるが、中学、高校、そして大学でも英語を学び続けて話せないのはなぜか。それは「読む/書く」の勉強に焦点をあて、「聞く/話す」練習を効果的にしてこなかったことにある。学校法人産業能率大学が3年に1度実施する新入社員のグローバル意識調査では、2015年の新入社員を対象に「聞く/話す/読む/書く」4技能のそれぞれの能力向上について、学校での英語教育がどの程度役に立ったかを尋ねた。すると、「読む/書く」は役に立ったが、「聞く/話す」能力の向上については過半数が「役に立たなかった」と回答した。
同調査で「上司が外国人の場合、抵抗を感じるかどうか」については、「抵抗を感じる」(19.7%)、「どちらかと言えば抵抗を感じる」(31.4%)が合わせて半数を超えた。この回答が過半数となるのは、同設問を設定してから初めてとなる。
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これらの結果を総合すると、「聞く/話す」スキルが足りていないことが「語学力の不足」だと若者が捉えていることがわかる。「聞く/話す」スキルが不足しているから、思考が海外にも向かず、上司が外国人になるなんて受け入れ難い…という連鎖が起きているのだ。
これから英語を勉強しようとしている人、グローバル人材になりたい人、グローバル人材を育てたい人に必要なのは、何をとっても英語を「聞く/話す」スキルだということを肝に命じておく必要がある。これをクリアすることが、意識をグローバルに向けるベースになるのだ。
《出典》「第6回新入社員のグローバル意識調査」(学校法人 産業能率大学)をもとに作成