リサーチ
2016.07.20
能力主義に懐疑的? 「合理的」との回答は過去10年で最低に!
世代間での格差も狭まる
一般的に「合理的」だと認識されてきた「能力主義」。しかしここ最近は、懐疑的な目を向けるビジネスパーソンも増えているようだ。
個人の能力評価に重点をおいて昇進や昇給を決定する「能力主義」は、長らく日本の企業で採用されてきた「年功序列」「学歴主義」とは対照的な評価として、近年注目を集めてきた。それでは実際に評価対象となる立場からすると「能力主義」はどのように認識されているのだろうか?
博報堂生活総研による「生活定点」調査において、「能力主義は合理的な制度だと思う」と回答した人の割合を見てみると、調査が始まった1998年以降、最高値を示したのは2002年の51.2%。特に30代男性は61.7%が能力主義を評価していたのだ。
しかし、この年からジリジリと能力主義への評価は下がり始める。最新の2014年度の数値では全体で37.3%。2002年に比してなんと13.9%も下げている。
そもそも能力主義は「入社年次が若くても結果を残せば給料が上がる」ことから若い世代に受け入れられやすく、一方で「年功序列なら給料が上がったはずなのに、ピーク後は給料が減ることになる」という中高年層には不満の声が大きい傾向があった。
2002年と2014年を比較すると、この世代間格差が狭まり、ほとんどの世代で同じような数値を示しているのである。先ほども挙げた30代男性で見ても61.7%→42.0%と約20%近い急落を見せている。また、もともと能力主義への評価が低かった女性に関しても、30代女性では49.5%→33.2%と大きく下がっている。