リサーチ

2016.08.05

上がり続ける転職成功者の年齢

キャリアは年齢よりも強し!

転職では、年齢が若い方が何かと有利なイメージがあるが、果たして本当にそうだろうか。実はそんな「年齢神話」とは異なる、転職年齢に関するデータが出ている。

株式会社インテリジェンスが、2007年7月~2015年12月の8年半の間に、自社の転職支援サービス「DODA」を利用したビジネスパーソン約78,000人を対象に調査したところ、転職成功者の平均年齢は、過去最高の32.1歳を記録した。2007年下期からは3.0歳の上昇で、男女別では、男性が32.7歳、女性が29.6歳。いずれも過去値を更新している。
 
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そもそも転職をかなえた人の数自体、ここ数年は増加傾向にある。そのなかで、30代、40代以上に転職の機会が広がっていることに注目したい。特に40歳以上の転職成功者は、2012年下半期を1とした場合、その伸長率は420%となっている。「35歳は転職の限界」という一般認識もあるが、この数字を見る限り、それは現実に則していない。
 
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なお、2015年下半期の転職成功者を年齢別の割合で見ると、35歳以上の世代も、全体の3割に近い割合まで達している。
 
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このような「35歳以上のミドル層 の増加」の理由としては、次のことが考えられる。まず、業績回復や新規参入、大型投資にあたって、“スピーディーに成果を出せる”人材が必要とされていること。そして、未経験の人材をじっくり育てる余裕がなく、“即戦力”を中途採用したいという会社の思惑がある。また、ITや建築など一部の業界では空前の人材不足で、従来よりも採用ターゲットが広がっていること、B to C分野では、顧客ニーズの多様化に対応するため、営業などの分野でもミドル層の経験やスキルが求められること、さらに女性の活躍推進の動きから、管理職候補を含めたミドル層の女性を採用する企業が出てきたことなども、理由として考えられる。
このような転職状況を受けて、ミドル層のキャリアに対する考え方にも変化が生じ、従来に比べて転職への意識が前向きになっているようだ。
 
職種別で転職成功者の平均年齢を見ると、やはり「技術系(IT/通信)」や、「企画・管理系」、「営業系」の平均年齢は、2~4歳ほど上昇している。また、「専門職系」や「技術系(電気/機械)」の大幅な上昇にも注目したい。
経営・人事コンサルタントや金融のファンドマネジャー、不動産のプロパティマネジメントなどの「専門職系」においては、グローバル化推進にあたり、海外法人とのM&Aや、海外での新規事業の開発や企画を担える高度な専門性が必要とされるため、高いスキルを持つミドル層の採用が増えたと考えられる。「技術系(電気/機械)」に関しては、中国など海外企業の台頭による競争の激化で業界の勢力図が大きく変わり、大手日系メーカーの技術者が、国内の中堅メーカーや海外メーカーに転職する傾向が反映されているのだろう。
 
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近年では、キャリアに絞った転職サービスを行う派遣企業も現れるなど、現在の転職市場では、年齢よりも「キャリアそのもの」が評価される傾向にある。複数の職種や業界の経験は、むしろキャリアの掛け算で市場価値が上積みされる可能性もあり得る。同社が2014年7月に発表した、転職成功者の平均転職回数に関する最新の調査では、35歳以上は「4回以上」と回答した割合が最も多く、やはり「転職回数が多いと不利」とは一概に言えない状況になってきている。「転職」という選択肢も前向きにとらえ、若い時からスキルを磨き、ポテンシャルを上げて自身の価値を高めておくことが大切なのかもしれない。
 
 
 
 
(出典)株式会社インテリジェンス DODA「ホンネの転職白書 転職年齢はなぜ上昇し続けるのか?転職成功者の年齢調査」、「ホンネの転職白書 平均年齢は過去最高、性別・年代を問わず転職のチャンスが広がる!転職成功者の年齢調査」をもとに作成
作成/MANA-Biz編集部