リサーチ
2016.08.02
内部昇格による女性社長就任は全体の13.5%
女性社長の実態調査から見える傾向
近年、「女性社長」の活躍が目覚ましいが、実際のところ、どれぐらいの女性社長企業があり、どんな業種で、どの年齢層が多いのだろうか。その実態を調査したデータが発表された。
株式会社帝国データバンクは、2016年4月13日、「新任女性社長企業の実態調査」の結果を公表した。その調査によると、2015年以降に女性社長が就任した企業は5740社が判明した。そのうち、社長交代による就任が5254社で、新設による就任は 486 社となっている。
年齢が判明している企業について平均年齢を見ると、社長交代企業が 55.6 歳で、新設企業が 45.6歳。年代別構成比では、社長交代企業は「50 代」(構成比29.9%)、新設企業は「30代」(構成比31.7%)が最多となっている。結婚・出産などの人生のターニングポイントを迎える30代という年代で、起業を決意する女性が多いようだ。
業種別では、社長交代企業は「建設業」(構成比 20.9%)が、新設企業は「サービス業」(構成比39.7%)が最多。男性的なイメージが強い建設業が多いのが意外に思えるが、これは夫である前任社長が死去し、その妻が事業を引き継ぐなどの「同族継承」が多いため。実際、社長交代による女性社長企業について、就任経緯判明している企業について見ると、同族継承が全体の77.2%を占め、内部昇格はわずか13.5%に過ぎなかった。
調査では、新設企業の「サービス業」は、「経営コンサルタント」や「美容業」、「老人福祉事業」などの業種が多い。また2番目に多い「小売業」(構成比15.6%)の内訳も、「化粧品小売」や「婦人・子供服小売」など、女性の強みを活かせる業種が多かった 。
資本金規模は、社長交代企業で「1,000万~5,000万円」が2807社(構成比53.4%)で最多。一方、新設企業は「1,000万円未満」が455社(構成比93.6%)と圧倒的に小規模企業が占めている。なお、都道府県別では、社長交代企業、新設企業ともに東京都が最多だ。
株式会社帝国データバンクが2016年4月7日に公表した調査データによると、全国の女性社長比率は7.6%。政府が掲げる「2020 年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という目標を実現するには、女性がキャリア形成するための保育園や学童の待機児童問題への取り組みや、男性の育児参加、企業側の就労時間や勤務形態の見直しなど、多角的な観点でのアシストが必要になると帝国データバンクは分析している。それらが改善されていくことで、職種や年齢層もより広がりを見せてくるのではないのだろうか 。
(出典)株式会社帝国データバンク「特別企画:新任女性社長企業の実態調査」(2016年4月13日)、「特別企画:東京都 女性社長分析」(2016年4月7日)をもとに作成