チェックワード
2018.03.16
気持ちはわかるが 「申し訳ない程度」といわれても...
本日のチェックワード 57「申し訳ない程度」
「ほんの申し訳ない程度ですが、みなさんでお召し上がりください」
取引先の訪問を受け、上記のような言葉と共にお菓子を渡されたら、あなたはどんなふうに感じますか? 「謙虚な言葉遣いだけど、なんだかおかしい」と感じた人は正解です。先方は「ほんの少しで、体裁だけであること」というニュアンスを表そうとしているので、使うなら「申し訳程度」と言うべきなのです。
そもそも「申し訳」という言葉は「言い訳」という意味があります。ですから、「申し訳ない程度」とすると、「弁解の余地がないほど」ということになり、上記の例だと「言い訳できないほどの手みやげ?」と受け止められてしまいます。間違えそうになったら語義を思い出せば、正しい使い方ができるはずです。
・ほんの申し訳程度ですが、本日の謝礼です。
監修/篠崎 晃一(Shinozaki Koichi)
東京女子大学教授。専門は方言学、社会言語学。『例解新国語辞典』(三省堂)編修代表や、テレビ番組「ワーズハウスへようこそ」(日本テレビ系)の監修など幅広い分野で活躍。『えっ?これっておかしいの!? マンガで気づく間違った日本語』(主婦の友社)など、日本語の誤用に関する著書も多い。