レポート

2018.03.19

会議の生産性を高めて、働き方改革!

会社の会議ですぐに使える実践テクニック

働き方改革が声高に叫ばれる今、具体的に何をどうすればいいのかわからず困惑するワーカーも少なくないだろう。働き方を変革するためには、「しくみ(型)」、「環境(場)」、「人の力(技)」の3つの分野を整えることが不可欠。今回は、「人の力(技)」の一つにあたる会議に着目し、会議の生産性を高めて働き方を変えるためにはどうすればいいのか、会社ですぐに使える実践テクニックを紹介しよう。
※本記事は、「KOKUYO 2018 WORKSTYLE FAIR」(2017年11月開催)におけるショートセミナー「会議の生産性を高めて働き方を変える! 現場ですぐに使える実践テクニック」(講師:コクヨワークスタイルコンサルタント 成田麻里子さん)の内容をまとめたものです。

"アイデアは既存の知識の新しい
組み合わせである" byジェームス・W・ヤング

では、創造的会議の品質向上、定型的会議の効率化を図るには、具体的にどのようにすればいいのでしょうか。ここからは「会議をうまく進めるための実践テクニック」についてご紹介していきましょう。

カギを握るのが、ファシリテーターです。ファシリテーターとは、中立的な立場で会議の流れをコントロールし、メンバーのチームワークを醸成し、問題解決、創造、意思決定を行う進行役のことを指します。そして、ファシリテーターには次の3つの役割があります。

役割1:アイデア・マネジメント...参加者から意見を引き出す
役割2:タイム・マネジメント...時間通りに結論を出す
役割3:チームワーク・マネジメント...会議の空気をつくる

今回は、とくにアイデア・マネジメントとタイム・マネジメントについてファシリテーターの役割を説明していきます。まずは、アイデア・マネジメントについて。

アメリカ人実業家のジェームス・W・ヤングは、『アイデアのつくり方(CCCメディアハウス出版)』という著書の中で、「アイデアは既存の知識の新しい組み合わせである」と述べています。この原著は今から約80年前に出版された書籍ですが、今でも多くの人に支持されている名言です。あのスティーブ・ジョブズも、「創造力とは、単にモノとモノを結びつけるだけのことだ(※)」という言葉を残しています。アイデアというと、ゼロから新しいものを創造するようなイメージがありますが、実は彼らが述べているように、"組み合わせ"なのです。

※『スティーブ・ジョブズ世界を変えた言葉』編集:アラン・ケン・トーマス /出版:イースト・プレス




まずは常識を疑ってみることから始め、
ヒントをたくさん投げかけましょう

そして、この"組み合わせ"の切り口を会議の参加者に投げかけるのが、ファシリテーターの役割です。会議の進行役を務めてと言われると、自分が率先して意見を言わなければいけないというプレッシャーを感じがちですが、その必要はありません。ファシリテーターの役割はあくまでも「会議の進め方をコントロールする人物」なのです。

ですが、参加者に「何か意見はありますか?」とただ発言を促してもなかなかアイデアは出てきません。アイデアを出すためには、2ステップで考えます。まず最初にすることは、考えるべきテーマについて常識になっていることや不満に感じていることを会議の参加者に挙げてもらいましょう。その後、常識や不満を基点に、アイデアを出すためのヒントを投げかけ、参加者の思考を促します。具体的には、次のような投げかけをしてみると良いでしょう。

1. 〜をやめる
例:「何か、ムダになっていることはないでしょうか?」
2. 〜を逆にする
例:「何か、方向性を変えられることはないでしょうか?」
3. 〜を誇張する
例:「何か、極端にバランスを変えられることはないでしょうか?」
4. 〜と関連づける
例:「何か、他の業界でヒントになることはないでしょうか?」

上記のように、具体的に投げかけることを意識しましょう。



会議のタイム・マネジメントでは
時間の使い方を共有し、結論の出し方を明確にする

続いて、タイム・マネジメントについて。予定している時間通りに結論に至るには、ファシリテーターが場をコントロールすることが重要です。まず、会議の冒頭でやるべきことが、「会議の地図の共有」です。具体的には、その会議の「ToDo リスト」を書き出し、各テーマについて話し合う時間を決め、参加者全員で共有します。大人数の会議ならホワイトボードなどに書き出し、2、3人のミーティングであればA3の紙などにさっと書き出しましょう。最初に全体像(地図)を「見える化」しておくことは、とても大事なことです。

また、アイデアや意見を発散しつくした後は、それを絞りこんで結論を出すことになります。結論の出し方には、次の4パターンがあります。

1.参加者の多数決
2.責任者の直観
3.議論で全員合意
4.評価項目で評価

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ここで大事なポイントは、結論の出し方を「会議の途中で決める」ということです。ファシリテーターは、ある程度議論が進んできた段階で「結構アイデアが出てきましたね。このまま終了10分前まで議論して、決まらなければ多数決で決めませんか?」など、どのように決めるかを参加者に投げかけましょう。実際に結論を出す方法としては、例えば多数決で3つぐらいに絞りこんでから、評価項目で点数づけをして最終的に1つに決めるなど、パターンを組み合わせることもあります。

なお、結論の出し方を会議の冒頭で決めるのは、あまりおすすめしません。理由は、参加者に「この人は会議を早く終わらせようとしている」という印象を与えてしまい、意見を出しづらい雰囲気になってしまうことがあるからです。

今回は、「会議における生産性」と「会議をうまく進めるための実践テクニック」についてお伝えしてきました。働き方改革において重要なのは、実際の行動に移すことです。ここで学んだことでご自身ができることから、1つでも実行していただきたいと思います。



成田 麻里子(Narita Mariko)

コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルコンサルタント
コクヨ入社後、10年間にわたりオフィスデザインやワークスタイル研究、新規事業企画に携わる。現在は企業向けサービス[コクヨの研修]スキルパークにおいて、人材育成、働き方改革に関わる研修企画および講師を担当。

文/笹原風花 撮影/MANA-Biz編集部