組織の力

2018.07.30

フリーランス活用で企業が進化する時代へ〈後編〉

フリーランスは、同じゴールに向かうビジネスパートナー

前編では、フリーランスという働き方を選択する人が増え、その市場規模が拡大している背景、さらに、フリーランスの現状への満足度が会社員に比べて高いことを紹介した。また、株式会社Warisが提示する「変革型フリーランス」についても、その定義や特徴に触れた。後編では、企業によるフリーランス活用の現状・課題やメリット、さらに、企業はフリーランスとどのような関係を築いていく必要があるのかについて、引き続き、Waris ワークアゲイン事業統括/Waris Innovation Hubプロデューサーの小崎亜依子氏に伺った。

外部のプロフェッショナル人材の活用が、
企業のブランディング、成長につながる

企業は変革型フリーランスとどのような関係を築いていく必要があるのか、については、「変革型フリーランス実態調査」の結果から次のような課題が提示された。「選ばれる企業になること」、「外部人材を活用する選択肢を持つこと」、「フリーランスと対等な立場で接すること」、「適正に仕事を切り出し、評価を行うこと」の4つだ。フリーランスに選ばれる企業になるためにはどうすればいいのか、改めて小崎氏に伺った。

「まずは、企業が一つのゴールに向かって動き、成果にコミットする集団になることが重要です。そういう働き方や仕事の進め方ができなければ、目標を達成するために必要なリソースは何か、それが社内にあるのかどうか、ないのであれば具体的にどの業務を外部に切り出すか(フリーランスに任せるか)、を明確にすることができません。そのような曖昧な状態ではフリーランスを使いこなすことは難しく、フリーランスからビジネスパートナーとして選ばれる企業にはなれません。また、フリーランス活用を進めるためには、マネジメントする立場にある人のスキルアップが不可欠です。その立場にいる人がフリーランスという存在を認知し、理解し、自分たちがどのような能力のある人を求めているのかを洗い出したうえで委託する業務を明確にし、フリーランスと対等な立場で接し、評価する能力を身につけることが求められるでしょう」

「フリーランスは、今、とても興味深い人材プールとなっています。扱いづらいと敬遠するのではなく、イノベーションを求めているのであれば、ぜひ、活用してみていただきたいと思います。これからは、外部のプロフェッショナル人材をうまく活用している企業は、それがブランディングになるでしょう。そして、結果的に企業の成功にもつながるはずです」

社内にないリソースは、外部のプロフェッショナルに委託して取り入れる。そんな考え方が浸透すれば、フリーランスと企業とがビジネスパートナーとして連携し、同じゴールに向かう...というプロジェクトの進め方も広がるだろう。越えるべきハードルは少なくないが、日本の働き方改革の一環として、フリーランスと企業とのあり方は確実に変わりつつある。


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小崎 亜依子(Kozaki Aiko)

株式会社Waris ワークアゲイン事業統括/Waris Innovation Hubプロデューサー。明治大学「女性のためのスマートキャリアプログラム」講師。日本テレワーク学会会員。北九州市未就業女性の活躍戦略策定事業アドバイザー(2017年) 。1996年慶應義塾大学総合政策学部卒業、2002年ピッツバーグ大学公共政策国際関係大学院修了 (公共政策マネジメント修士)。野村アセットマネジメント株式会社を経て、留学・出産育児で 5 年のキャリアブランク後、NPOのアルバイトで復職。2007年より株式会社日本総合研究所で「なでしこ銘柄」における企業分析などを担当した後、2015 年(株)Warisに参画。自身の経験を活かし、キャリアブランクのある女性の再就職支援「Warisワークアゲイン事業」を手がけるとともに、プロフェッショナル女性を対象としたプロジェクト型ワークの創出や多様化推進のためのコンサルティングを行う。著書に『女性が管理職になったら読む本』(翻訳・構成を担当)、『スチュワードシップとコーポレートガバナンス―2つのコードが変える日本の企業・経済・社会』(共著)、などがある。

文/笹原風花 撮影/荒川潤