リサーチ
2019.06.07
ところ変われば「働き方」も変わる?
アジア3カ国と日本のシゴト意識の違いとは
ベトナム、タイ、インドネシア、日本の4カ国で、会社に勤務している20〜40代の男女500名に「働き方」をテーマにしたインターネット調査を実施。文化や経済状況も異なるアジア各国のビジネスパーソンと日本のビジネスパーソンの仕事の捉え方の違いを考察してみよう。
まずは、働き方改革の焦点の一つとなっている残業。残業する理由を尋ねたところ、アジア各国では、「残業代を稼ぐため」と「一緒に働く人を手伝いたい」が日本に比べて多いのが特徴的だ。残業を問題視しがちな日本と違い、残業には「残業代」というメリットがあり、「仲間の手助け」という喜びがあるということだろうか。一方、日本は「自分の仕事が終わらなかった」「人手が足りない」が半数以上を占めており、一人当たりの仕事量が多いことを示唆している。
各国のビジネスパーソンの仲間意識の高さは次の調査からも見えて来る。「仲間と仕事したいか」、「一人で黙々と仕事がしたいか」という質問に対し、アジア各国のビジネスパーソンは圧倒的に仲間との仕事を望んでいる。日本人は「一人で黙々と仕事をしたい」が半数を上回っており、仲間とコミュニケーションをとるより膨大な仕事量をこなすことに注力したいという姿勢の表れかもしれない。
そんなにストイックに仕事をしているにも関わらず、日本人の出世欲は低く、新しい仕事への興味も他国に比べて低いようだ。さまざまな業種で外国人材の受け入れが進む中、この意識差はどう影響するのだろうか。
結果を見る限り、アジア各国のビジネスパーソンはモチベーション高く生き生きと働いており、仕事を楽しんでいる様子が伝わって来る。しかし、一概に日本の労働環境が悪い、または日本人はやる気がないとは言えないだろう。例えば、各国の名目GDP(2018年)を比較すると、日本は世界3位、インドネシア16位、タイ26位、ベトナム47位と、その経済規模の違いは明らかだ。逆に経済成長率(2018年)は4カ国の中で日本は最下位の161位。インドネシア36位、タイ59位、ベトナム7位とは、大きな差をつけられている。経済発展の途上にあり、働くことが生活向上と直結する環境であれば、仕事への意欲も当然高まるものだ。とはいえ、これから本格化するであろう外国人材の受け入れに当たって、彼らのシゴト意識を知っておくのもよいだろう。希望を持って働く外国から来た同僚が身近にいれば、日本人にとってそれが良い刺激にならないはずはない。
【出典】DI Asia/カーツメディアワークスの共同調査 日本とアジア3カ国の「働き方」比較調査