リサーチ

2019.11.22

ビジネスパーソンが「調べもの」に費やす時間は毎日1.6時間

システムと情報共有体制の整備で削減可能か

仕事をするうえで、さまざまなシーンで必要になる「調べもの」。フォーカスされにくいが、実は多くのビジネスパーソンが日々「調べもの」に多くの時間を費やしている。オウケイウェイヴ総研が2019年4月3日に全国の会社員1,000人を対象に行った『社内業務に関する調査』では、一般的な会社員が調べものにどれくらいの時間を割いているのか、その実態が明らかになっている。

営業先を探す、プレゼン資料を作成するなど、仕事をしているとさまざまなシーンで「調べもの」が必要になる。少し前に、ゴミの分別やトイレットペーパーの補充のような細々した作業を指した「名もなき家事」という言葉が注目されたが、「調べもの」はまさに職場における「名もなき仕事」と言えるだろう。
しかし、この「調べもの」が実に厄介で、ビジネスパーソンに大きな負担をかけている可能性がある。オウケイウェイヴ総研が実施した『社内業務に関する調査(2019年4月)』において、一般的な会社員は1日に平均1.6時間を「調べもの」に割いているということがわかった。これを賃金に計算すると、日本全体で1日あたり約1,057億円にも相当するというから驚きだ。
 
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調べものをする際に利用するもの・人を質問すると、「インターネット検索」が93.3%で1位という圧倒的な数値を示している。2位は、「職場の上司や同僚(44.2%)」、3位は「社内にある新聞・書籍・雑誌など活字資料(19.1%)」、4位は「取引先の担当者(14.4%)」だった。
今の時代、自分のパソコンで手軽に調べものができるインターネットが最も重宝されているようだ。ただし、膨大な情報が溢れるインターネットは情報の選択も難しいため、より専門的なことなら職場の上司や同僚、ときには取引先の担当者に聞くほうが、効率が良いこともある。
 
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調べものは仕事をするうえで必要不可欠なものであるが、調べものに「時間を取られてしまっている」と感じる人、また調べものに時間を割かれることにストレスを感じているビジネスパーソンは非常に多い。
 
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「調べものに時間を取られていると思う(とても思う18.6%、やや思う44.3%)」と回答した人に対して、その理由を尋ねたところ、「新しい知識を多く必要とする業務のため」が57.6%で1位となった。業務の性質上、調べものが多くなるというのは仕方がないことであるが、注目したいのは2位以下である。
2位の「知りたい情報が一箇所にまとまっていない(56.4%)」、3位の「知りたい情報がどこにあるか把握できていないため(32.4%)」、4位の「調べ方が整っていないため(27.5%)」からは、現状では調べものが各個人の裁量に任せられており、何の方針もないまま個人が自分のやり方で模索するしかないという状態であることが垣間見える。ここには改善の余地がありそうだ。
 
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「仕事中に調べものをするうえで職場に望むこと」では、「社内ツール・システム関連の整備」が34.3%で1位に挙がった。より多くの情報を簡潔にまとめた社内ツール・システムがあれば、欲しい情報を簡単に入手できるので、手探りでネットサーフィンをするよりも、調べものの効率はアップする。2位の「社内の情報共有体制の整備(34%)」や4位の「社内外の資料拡充(20%)」、5位の「資料室や図書館の整備(15.6%)」も、1位と同じニーズを背景とした要望であろう。
 
3位に挙がった「情報収集の時間(24.3%)」は、非常に興味深い。調べものには多くの時間を費やすのに、それを業務から度外視されているという窮状ではないかと推察される。調べものを完全に個人の裁量に委ねる場合でも企業は「調べものにかかる時間」を「業務に不可欠な時間」として捉え、適切な対応をしなければならないだろう。部下からの質問に対して「それくらいは自分で調べてほしい」という姿勢を貫くのであれば、それなりの情報共有システムを確立して、社員に提供する必要があるのかもしれない。
 
また、依頼する側がそもそも「調べものにかかる時間」を読み違えている可能性も考えなければならない。依頼人が調査から資料作成までに要する時間を少なく見積もっていると、期限が短く設定されるため、受ける側の負担が増える。この場合は、情報収集の量や精度、必要となる時間について、あらかじめ依頼者や監督者とコンセンサスをとっておくことが、自身の負担を軽減することにつながるのではないだろうか。
 
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作成/MANA-Biz編集部