リサーチ

2020.09.16

新型コロナウイルスの影響 で「採用活動」は停滞している?

学生やビジネスパーソンが不安視する「採用活動」の現状と今後

新型コロナウイルスの感染拡大は、企業の採用活動にも影を落としている。転職サイト「転職ナビ」や採用プラットフォーム「SCOPE」を運営するアスタミューゼ株式会社は、2020年4月24日~5月8日、サービス利用企業や取引先企業193社を対象に、『「新型コロナウイルスにおける経営、事業及び人事について」のアンケート』を実施した。

新型コロナウイルスによる業績の悪化→採用規模の縮小や、人材が欲しい企業も外出自粛によって通常通りに選考を行えないなど、「採用活動」への影響が甚大だ。今後の雇用情勢は不透明、かつ確実に悪化するとも言われている。

緊急事態宣言は一旦解除されたが、感染予防を念頭においた「新しい生活様式」は今後も続く。来春に卒業・就職を控える学生や、転職を考えていたビジネスパーソンにとって、新型コロナウイルス影響下の採用活動の実態は、大きな懸念事項だろう。

アスタミューゼ株式会社が実施した『「新型コロナウイルスにおける経営、事業及び人事について」のアンケート』では、「新卒採用を通常通り行っている」と回答した企業は57.0%。過半数ではあるが、厳しい実態を痛感させられる数字だ。「より新卒採用に力を入れている」という企業も4.4%あったが、それ以外はネガティブな回答で、「新卒採用を中止している」と回答した企業は24.4%にのぼった。

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中途採用については、52.4%の企業が「通常通り」と回答している。新卒採用の57.0%より若干数値が下がるが、着目したいのは「中止した割合」だ。新卒採用では24.4%であったのに対して、中途採用では14.0%に留まっている。また、「より力を入れている」は、新卒4.4%の倍に近い8.4%だった。新卒採用・中途採用の現状を総合的に比較すると、中途採用のほうが影響は少ないとも考えられる。

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新型コロナウイルスの影響を受けて、採用活動の在り方も変化している。「新型コロナウイルスの状況下で力を入れている人事・採用活動」を聞くと、「Web採用」がトップに挙がった。自粛下で説明会の開催や面接の実施が難しい、しかし採用活動は予定通りに行いたい...という企業が、Web採用に活路を見出したのだろう。

「中途採用」に力を入れている企業が多いことからは、人材不足と新型コロナウイルスの影響のバランスを取るために、即戦力となる中途採用が、新卒採用より重視されているのではないかとも推察される。

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本調査の結果から、新型コロナウイルスの感染拡大による採用活動への影響は甚大だが、必要な人材に対する企業のニーズは現状も存在し、特に中途採用にはしっかりと注力されていることがわかった。

Web採用の導入については、新型コロナウイルス感染予防のためにで"やむを得ず"導入した企業も多く、企業側には「的確に判断できるか」、選考を受ける側には「きちんと評価してもらえるのか」等の不安があると考えられるが、遠隔在住者の負担が少なくなる等のメリットも今回改めて認識されており、この新型コロナウイルスを機に、収束後も導入する企業が増えるかもしれない。

第一波はピークアウトを迎えたようではあるが、防疫・経済の両方において先行き不安な状態であることは否定できない。新型コロナウイルスの影響による各企業の業績悪化は、来年度以降の就職率等にも少なからず影響を及ぼすことが推察されるが、調査からは「求人ニーズがないわけではない」ということがわかった。

テレワークや時差出勤等の「新しい働き方」が急速に進むなか、「新しい採用方法」もまた急速に進みつつあるのかもしれない。この未曾有の大転換期における変化に、企業も個人も柔軟に適応していく必要があるだろう。




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作成/MANA-Biz編集部