リサーチ

2020.09.18

新型コロナを機に、ビジネスパーソンが会社に期待すること

テレワークと出社、両方のメリットを活かした働き方に支持が集まる

「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行うGreat Place to Work® Institute Japan(株式会社働きがいのある会社研究所)は、2020年2月以降に人生で初めて2週間以上のテレワークを経験した人(経営者・役員を除く20~59歳の男女正社員)を対象に、『「コロナを経験した社会で会社に期待すること」に関する調査』を実施した。

テレワークは働き方改革の一環として推進されていたが、実践している企業は限られていた。しかし2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大によって全国的にテレワークが推進されたことで、テレワークを経験したビジネスパーソンが一気に増え、各々が実感を伴って声をあげ始めた。

テレワーク初心者の声は、これからの働き方の可能性を占う試金石となる。新しい働き方は日本の社会に浸透し得るのか。不安解消の鍵は何なのか。『「コロナを経験した社会で会社に期待すること」に関する調査』から考察する。

調査では68.4%の人が、人生で初めてのテレワークを経験する前に「不安があった」と回答。不安要素のトップには「社内外とのコミュニケーション」が挙げられた。2位の「仕事を行う環境や設備」は、多くの企業でテレワークを想定した環境が整備されていなかったことを示唆している。3位は「集中力」で、4位の「業務効率」を上回った。オフィス以外の環境(主に自宅)で仕事をすることへの不安が大きかったと推察されるが、テレワークで通勤ストレスなどが軽減され、時間を有効活用できる・体力的なコストが減る=業務効率が上がると思った人も一定数いたのかもしれない。

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実際にテレワークを経験して不安が解消された要素を聞くと、「解消された/どちらかといえば解消された」内容の1位・2位に、「新たなツールやシステムなどの操作方法」、「社内外とのコミュニケーション」、テレワーク前の不安要素として挙げられていた上位3項目のうち2つがランクインした。

しかし、不安要素の3位だった「集中力」は、「解消されなかった/どちらかといえば解消されなかった」内容でも3位に挙げられ、事前の不安が的中した形だ。1位の「企画・発想力」、2位の「健康管理」は、事前の不安要素では下位だった項目で、経験があってこそ得られた貴重なデータだ。1位の「企画・発想力」は、従来のコミュニケーションで成し得ていた"インフォーマルな情報や意見の交換"の重要性を示しており、今後のテレワーク普及のために、強化すべきポイントといえる。

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「テレワークを経験して、それまでの慣習について感じたことを教えてください」という質問で、最も多かった回答は、「毎日出社する必要はない」。次いで、「移動にかけていた時間がもったいない」、「同じ時間に勤務する必要はない」が挙がり、テレワークやフレックスタイム制の意義を裏づけた。

一方、「一人一台デスクを持つ必要はない」は最下位で、フリーアドレスに対しては依然ハードルが高いことが読み取れた。

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今後もテレワークを続けたいかどうかを聞くと、「テレワークと出社が半々くらいの働き方」を希望する人が52.7%、「テレワークを主体とした働き方」が34.0%。「出社を主体とした働き方」を支持した人は13.3%に留まった。

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新型コロナウイルス感染拡大の影響によって余儀なくされたテレワーク経験によって、ビジネスパーソンたちは貴重な体験をした。毎日出社しなくても良い、同じ時間に勤務する必要はないといった実感が得られた反面、コミュニケーションの取りやすさや社内の一体感や連帯感が減ったという声も多かった。

しかし、テレワークによって「モチベーションが増した」とする層では、コミュニケーションの機会や一体感・連帯感が「増した」と回答している人が多い傾向もあり、同じ状況下でも、気の持ち方や活かし方によって、プラスに転じることができる可能性が感じられる。同じ場所にいなくても円滑にコミュニケーションがとれる環境づくりや意識づけも課題になってくるだろう。

テレワークにも従来どおりの出勤にもそれぞれのメリットがある。この調査で「テレワークと出社が半々くらいの働き方」を希望する人が過半数であったことからもわかるように、双方の良さを活かすようなスタイルが、日本企業には向いているのかもしれない。


【出典】Great Place to Work® Institute Japan『コロナを経験した社会で「会社に期待すること」調査


作成/MANA-Biz編集部