リサーチ
ポストコロナにおけるコミュニケーションスタイル
WEB会議活用状況から見えた今後の傾向とは?
コクヨ株式会社では、約7,000人の従業員を対象に、2020年1~6月におけるWEB会議の活用状況を調査した。この期間、新型コロナウイルスの拡大と共に、多くのワーカーの働き方は激変した。中でも大きく変化した項目の一つがコミュニケーションスタイルだ。WEB会議に関する調査から見えてきた「今後の社内外コミュニケーションのあり方」について、同社ワークスタイルイノベーション部でコンサルタントを務める伊藤毅氏が考察する。
コロナによって会議スタイルは
リアルからオンラインに
コロナ禍に伴って、多くのワーカーは半強制的に在宅ワークを実践することになりました。もちろんコクヨでも、新型コロナ感染拡大の影響によって段階的に在宅ワークが行われるようになり、緊急事態宣言が出された4月中旬からはさらに加速しました。
ワーカーの働き方が激変する中で、特に私が強く感じたのがコミュニケーションスタイルの変化です。これまでリアルな場で行われてきた会議や打ち合わせの多くが、リモートワークによってWEB会議に置き換わったと感じたのです。
そこで、2020年1月上旬から6月下旬にかけて行われた2名以上の社内WEB会議(GoogleのWEBミーティングサービス「MEET」を活用したコミュニケーション)について、利用回数や時間、参加人数などを、下記の5つの時期に区切って集計してみました。感覚的に「増えた」だけにとどめず、定量的変化を明らかにしようと考えたのです。
■在宅推奨前:1/6~2/24(8週)
■在宅推奨:3/2~3/23(4週)
■出張禁止:3/30~4/6(2週)
■出社禁止:4/13~5/27(6週 GWは除く)
■事業所再開:6/1~6/22(4週)
新型コロナ感染拡大による出社禁止期間の前後で
WEB会議が20倍に
まず全体的な傾向として明らかになったのは、WEB会議の活用度が急激に上がったことでした。「在宅推奨前」期間には週平均で約250回の開催でしたが、「出社禁止」期間以降は5,000回を上回っています。つまり、週平均で20倍以上も開催されるようになったわけです。
事業所再開後も回数が減ることはなく、WEBを使ったコミュニケーションスタイルが社員に根づいたことがわかります。
WEB会議の特徴
社内WEB会議のデータをさらに詳しく見ていくと、下記3つの特徴も見えてきました。<コクヨの社内WEB会議の特徴>
①1~4人の会議が約7割
②1時間以内で終わる会議が約7割
③100人単位の会議も開催されている
①1~4人の会議が約7割
WEB会議の参加人数を分析すると、2人で行う会議が全体の約4割、3~4人以内の会議が3割を占めています。
ちなみに感染拡大前の調査では、オフィスで行われていた4人以内の会議は、会議全体の約5割にとどまっていました。
察するに、コロナ前には個室の会議室ではなく、予約いらずで気軽に使えるオフィス内のオープンなミーティングスペースが4人以内の打ち合わせや会議ではよく利用されており、それらがオンラインに置き換わったため、今回の調査では特に目を引く形で現れたのではないでしょうか。
②1時間以内で終わる会議が約7割
会議にかかる時間を分析してみると、1時間以内の会議が約7割を占めています。さらに細かく見ると、10分以内で終わる会議も多くみられます。この結果からも、実際のオフィスでは会議室以外の場所でも、短時間のちょっとしたミーティングがとても多く行われていたことがわかります。
③100人単位の会議も開催されている
4人以内の会議が多い一方で、100人単位のWEB会議も少数ながら行われています。最大で265人参加の会議が確認できました。
100人単位の会議は、各事業所を集めての説明会や勉強会などがコロナ禍でオンライン開催されたものと考えられます。ただ、リアルのビジネスシーンでこのような規模の会議を開催するとなると、社内の会議室では難しく、費用のかかる外部の会議室を借りることになります。
図らずもコロナによってオンライン開催を余儀なくされたことで、オンラインならば大人数での会議やイベントが開催しやすい、との気づきもあったと考えています。
このことから、多くのメンバーが知識を共有したり多拠点をつなぐ機会として、WEB会議は非常に有用性が高いといえます。
伊藤 毅(Ito Go)
コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルコンサルタント
2007年コクヨ入社。セキュリティやITなど働き方を支援する仕組みや環境づくりに従事し、コクヨのクラウドを活用したワークスタイル企画に参画。現在は、働き方・IT・制度の3つテーマを働き方プロジェクトマネジメントとして実施。