リサーチ
新型コロナウイルスの影響でM&Aが活発化
「2021年にM&A市場は活性化する」と83%が回答
※『M&Aに関するアンケート』は2020年10~11月に事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」を運営するビジョナル・インキュベーション株式会社が実施。
新型コロナウイルス影響下で M&A市場は活性化の見込み
M&Aとは「Mergers & Acquisitions」の略称で、直訳すると「合併と買収」を意味する。
- ■合併:2つ以上の企業が1つの企業に統合されること
- ■買収:企業が別の企業の経営を支配することを目的として株式を取得すること
買い手企業(譲り受け企業)は コロナ禍のM&Aを「チャンス」と認識
買い手企業のコロナ禍におけるM&A検討状況の変化では、消極的になったのはわずか11%で、19%はコロナ以前よりも前向きな姿勢を見せていることがわかった。さらに76%が「買い手企業にとってコロナ禍においてM&Aはチャンスだ」と考えていることも同調査からわかった。 尚、調査の対象になった買い手企業83社は、従業員数50名以下から1000名規模までさまざまで、この認識に企業規模による大きな差異はないことが推察される。 コロナ禍でも買い手企業がM&Aを前向きに検討する理由として、「コロナ禍により競合が少なく譲渡価格が低下傾向であり、M&Aの好機であるため(16%)」と、今が買い時と考える企業がある一方で、「コロナ禍は経営に影響しているがM&Aは必要であるため(51%)」と、ピンチを乗り切る策としてM&Aを考える企業があることもわかってきた。 コロナで苦しいこの時期にこそ「既存事業の拡大・強化(83%)」「経営の多角化(リスク分散)(46%)」「新規事業の開始(41%)」が必要と考えていようだ。 経営戦略としてM&Aを検討する買い手企業は、M&Aを経営状況改善の重要な手段と考えている。経営が厳しくなったからM&Aの検討を止めるのではなく、新型コロナウイルスの驚異があったからこそ、経営をより強固なものにするためにM&Aの必要性を再確認した企業が多いのかもしれない。
売り手企業(譲渡企業)側のニーズも上昇
一方、同調査では「譲り受け企業と早く出会いたい」という譲渡希望企業が増えていることもわかっており、2021年以降、更に増加すると予測している。 そして譲渡の理由からは「業績不振(57%)」「資金の確保(43%)」「後継者不在(代表者の引退(38%)」といった、コロナの影響が大きいことがわかる。 また「大手企業の傘下に入りたい(24%)」という回答からは、コロナ禍だからこそ安定を求める企業の想いが見て取れるようだ。 新型コロナウイルスの感染拡大が長期化すれば、これまで以上に影響範囲が広がることは容易に考えられる。M&Aへの対応に見られるように、生き残りを賭けて投資する企業と、身を引くことで事業を守る企業とが今後増えていくことも予測される。
M&Aは厳しい時代に生き残るための有力手段
調査結果を見ると、企業規模を問わず大多数が新型コロナウイルスの影響で厳しい状況にあるからこそM&Aに対する意識を高めている印象だ。 調査のフリーコメントには以下のような意見が寄せられていた。
- ●「来年は今年以上にチャンスと捉えて、積極的に事業多角化の手段として(M&Aを)活用したい」(譲り受け企業:メーカー /本部長クラス/ M&A経験2回以上/従業員数301名-1,000名)
- ●「コロナ禍により、事業の多角化によるリスクヘッジの重要さを痛感した。今後も予測を上回るような環境変化にも対応できる強い組織づくりを推進するために、M&Aをさらに積極的に活用したい」(譲り受け企業:商社 /本部長クラス/ M&A経験2回以上/従業員数50名以下)
- ●「企業の成長における投資戦略の1つの選択肢として、今後も案件の収集を積極的に進めたい」(譲り受け企業:流通・小売/代表取締役社長/M&A経験2回以上/従業員数51-300名)
【出典】ビジョナル・インキュベーション株式会社 事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」『M&Aに関するアンケート』