レポート

2021.04.06

自然がもたらす創造性の効果とは?

創造性をハックするネイチャーワークスタイリング

「創造性をハックするネイチャーワークスタイリング」と題して、「自然と働く」をテーマに開催された『アフターコロナの働き方新常識!INTENTIONAL WORKING~意図を持って働く』(2021年3月9日開催)のイベントの模様をレポートする。

問い3:現場でどうやって使命・思考・身体・感情を生かすのか?

最後の問いは「現場でどうやって使命・思考・身体・感情を生かすのか?」だ。INTENTIONAL WORKINGは、「働き方を自律的に決めていく」という概念だが、このような働き方をするためには、使命・思考・身体・感情の4つをよいバランスでマネジメントすることが大切だという。仕事の現場で、この4つをどのように活かしたらよいのだろうか。

6_rep_005_01.png 6_rep_005_03.png
6_rep_005_05.pngピョートル:「最小限の努力で最大限のアウトプットを生み出すには、自分なりの使命や好奇心をもって『これをやりたい、やる意義があるんだ』と感じながら取り組むのが一番です。また、身体エネルギーを管理することも助けになります。その中で感情のバランスも生まれてきます」

6_rep_006_04.jpg村瀬:「どう生かすかを考えるにあたっては、自然の法則を認知することが大切です。例えば使命でいえば、マズローの5段階欲求説からも、人間は最終的に社会貢献をしたいという欲求があることはわかってきています。そこに意識を向ければ、使命が自分の中にも見えてきて、最終的に何を果たせば自分は幸せなのかが見えてきます」

6_rep_006_05.jpg中條:「仕事において使命・思考・身体・感情を生かすには、一緒に働く相手と信頼関係を築けているかがポイントではないでしょうか。それがないと、例えば『身体が整わないからミーティングを欠席したい』と言っても、単純なわがままと受け取られてしまう危うさもあります。信頼を築くには、結局コミュニケーションしかないと思います。コロナ禍でオンラインでしか会話ができないとなったときに、信頼感を築くコミュニケーションをどう重ねていくかは重要ですね」




社会の相反する要素を
アウフヘーベンで考える

ここからは、参加者のワークが行われた。テーマは「社会について感じている相反する要素とは?」。

例えば「自然と暮らす」と「都会で暮らす」や、「アウトプット重視」と「プロセス重視」など、相反する要素はいろいろと考えられる。ピョートル氏がキーノートで解説したアウフヘーベンと関連させて、相反する要素をより高い次元で統合、再生成していける働き方、生き方はあるのか。参加者はテーマについて考えた後、グループで話し合った。

参加者からは、さまざまな意見が上がった。

  • ●「それぞれの人から相反する要素が上がったが、実は両方大切なものばかり。バランスが大切」
  • ●「組織の形で、フラット型とピラミッド型にはどちらもよい点があり、どちらかだけではうまくいかない」
  • ●「コロナ禍になってリモートで働くようになってから、『個人』と『集団』という二項対立を考えることが増えた」

最後にピョートル氏は「自分が大切にしていることと相反することがあったとき、それを悪いものだとは思わず、自分とは違う視点だと思うことで、自然にいろいろなことが解決する可能性もあります」と締めくくった。

仕事をするうえで、自然はどんな役割を果たしているだろうか。自分にとっての「自然」をもう一度見直してみることが、意図をもって働き方を自律的に決めていく(INTENTIONAL WORKING)うえでのヒントになりそうだ。そして自分なりの「自然」と「働く」のバランスを見いだせたら、相反する物事でも高い次元で活かし合う「アウフヘーベン」の実践もできるようになるのかもしれない。



ピョートル・フェリクス・グジバチ

ポーランド生まれ。2000年に来日後、モルガン・スタンレーなどを経て、グーグルのアジア・パシフィック地域における人材開発と組織開発、リーダーシップ開発分野で活躍。2015年に株式会社プロノイア・グループを設立し、企業がイノベーションを起こすための組織文化変革に向けてコンサルティングを行う。『世界最高のチーム』(朝日新聞出版)や『日本人の知らない会議の鉄則』(ダイヤモンド社)、『パラダイムシフト』(かんき出版)など著書多数。

村瀬 亮

株式会社スノーピーク専務取締役 株式会社スノーピークビジネスソリューションズ代表取締役社長

中條 大希

ヤマガタデザイン株式会社 専務取締役

文/横堀夏代