ライフのコツ
大企業のサプライチェーンに女性所有の企業を!
国際NGOが推進する「サプライヤーダイバーシティ」とは?
サプライヤーダイバーシティとは、大企業のサプライチェーンにマイノリティ企業(マイノリティ性の高い企業)を受け入れていく取り組みだ。2018年には、日本でも女性サプライヤーをサポートする国際NGO『ウィコネクトインターナショナル』の支部が立ち上がっている。その意義や内容、活動などについて紹介する。
日本におけるサプライヤーダイバーシティ
日本は欧米に比べてマイノリティ性の高い企業が多くはなく、サプライヤーダイバーシティへの意識も低いのが現状です。数年前より、政府主導で企業内での女性活躍は推進されてきましたが、仕入先や供給元など取引先全体での多様性達成を目ざす取り組みは遅れていて、マイノリティ企業が活躍しやすい社会とはいえません。 日本に拠点を持つ一部の欧米外資系企業では、日本でもサプライヤーダイバーシティの流れを進めたいと考えていました。ただ、信用力と認知度を高めるには女性活躍を掲げている政府や官庁を巻き込むことが大切であり、そのためには核となる国内の支援団体が必要だったのです。 そこで、日本の女性企業家にも国際認証を発行して市場参入を支援することを目的に、2018年にウィコネクトインターナショナルの日本支部が発足しました。 発足に当たり、日本支部のプロジェクトディレクターには国内の女性企業家が就任。創立メンバーには、米ウィコネクトインターナショナルの参画企業であるアクセンチュア社、インテル社、ジョンソン・エンド・ジョンソン社が、日本でもサプライヤーダイバーシティを進めたいと参画し、日本支部と共に活動を進めていくことになりました。
日本では13企業に国際認証を発行
日本支部が発足した2018年の12月には、内閣府男女共同参画局と経済産業省からの後援を得て、日本初開催となるサプライヤーダイバーシティをテーマにした国際大会が開催され、パネルディスカッションや企業と女性経営者のマッチングセッションなどが実施されました。 ウィコネクトインターナショナルが発行する国際認証「WBE(Women 's Business Enterprise)認証」は、日本においてもサプライヤーダイバーシティを推進していくうえでの軸となる重要な事業です。現在日本では13社がWBE認証を受けており、WEBデータベース「e network」には、約60社の女性企業家が登録しています。 新型コロナウィルス感染症が世界的に広まるさなかの今年6月には、世界規模のアニュアルイベント「インターナショナル・デー」をオンライン開催。大手企業がバーチャルブースを設け、認定女性企業家はマッチング希望先の企業を訪問してチャットやビデオでやり取りをする初の試みが行われました。 感染拡大の影響が著しい地域もあるなか、世界大会をオンライン展開できたということは大きな収穫でした。現状ではまだサプライヤーダイバーシティの意識が低い日本ですが、こういった活動を通じて女性企業家の進出機会を少しずつ広げていくことがまずは重要といえるでしょう。
鈴木 世津
NGO・ウィコネクトインターナショナル 日本プロジェクトディレクター。2004年に個人事業主として起業開始。オンラインの語学トレーニングやファシリテーションなどを手がけるヒューネクスト(株)を経営しながら、2018年にウィコネクトインターナショナル日本ディレクターに就任。ワシントン本部と連携し、女性企業家のサプライチェーン参入とその事業成長に情熱を注ぐ。
グローバルママ研究所
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。https://gl-stage.com/service/mama/