レポート
働くことについて子育てママが考える
リビングラボレポート@OSAKAしごとフィールド
今後6ヶ月に渡って継続的におこなっていく『子育てママLIVING LAB.』プロジェクトの一環として、2015年10月15日、大阪のOSAKAしごとフィールドで、「“一歩前進”ワークショップ 働きたいけど働ける?と悩んでいる人へ」と題したワークショップが開催され、WorMo’編集部がファシリテーターとして参加しました。
働きたいけど、こどもや家族のことを考えると躊躇してしまう…。そんな悩みを持ったママたちと一緒に、今考えられる働く上での問題や課題の本質は何か?そして希望の仕事をしている“ありたい姿”を想い描いたときに見えてくる今とのギャップ、超えるべきハードルは何か?を本質的なレベルにまで掘り下げて考えていきました。
主催:ソーシャルビジネスデザイン研究所、合同会社フィラメント
協力:株式会社パソナ、株式会社ママココ大阪、OSAKAしごとフィールド、コクヨ株式会社、株式会社コンセント
- 子育てママが感じる、働けない理由とは?
- 日本でも、女性の労働力人口は年々増えています。その背景には育児休暇や時間短縮勤務といった行政の変化、在宅勤務やサテライト勤務といった働き方の変化など、いまの女性を取り巻く環境の変化があります。また男性の育児に対する理解も除々に認知されつつあり、女性の起業や子育てがひと段落したあとの再就職も増えてきました。
- 今回のワークショップに参加したのは、働きたいなぁというキモチをもつ9人の子育てママ。ファシリテーター1名と子育てママ3名が3つのグループにわかれ、まずは『「働くこと」に感じていること(働けない理由・働かない理由)』について書き出し、グループ内で発表をしました。
- 環境や周囲との関わり
- パートナーや職場の理解
- 子どもと過ごす時間が減ってしまう
- 子どもの預け先を確保しなくてはいけない
- 自分ばかり負担が増える
- 自分の気持ち
- 仕事と子育てとの両立ができるかどうか心配
- こどもに負担をかける気がする
- 離職してからブランクがあり、仕事に順応できるか不安
- 前のように働けないけど前のように働きたい
- 働くとしてもキャリア思考になれない
- 自分が何をしたいのか明確でない
- 夢を叶えること
- 家族や周囲の理解・協力といった環境的な不安だけでなく、働くことそのものに対しても、ママたちの不安が大きいことがわかってきました。
- 5〜10年後、じぶんが働いている姿を想像してみよう
- つぎのワークは『仕事をしているわたしのありたい姿(私の将来像)』とは。5〜10年後、じぶんが働いているとしたら...。どんな仕事を、誰と、どこでしているか? いくらの収入を得て、パートナーとこどもはどう思っているか?を自由に想像し、書き出していきました。
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- このワークで大切なのは法制度やいまの環境にとらわれずに考えること。そうすることで子育てママそれぞれが思う理想の将来像を導きだすことが狙いです。ふたりの子育てママの回答から、ありたい姿を見てみましょう。
- ほとんどの子育てママが、以前勤めていたときの仕事や自分の得意なこと、取得している資格を活かして仕事をしたいと考えていました。パートナーの仕事への理解はもちろん、こどもには仕事をすることが良い影響を与えられたらと考えているようです。
- 思い描いた将来像へ近づくためには?
- 将来像を描いたあとは『ありたい姿を実現させるために、越えなければならない「ハードル」はなんですか?』という質問をテーマに、将来像への課題、不安や心配などを1つずつ付箋に書き出すワークに取り組みました。
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- そしてふたり1組でペアを組み、書き出したハードルを相手に説明することで整理し、漠然とした内容はさらに具体的なレベルに掘り下げ、自分にとって重要だと思う順にランキング化していきました。ハードルを整理するうえで、大切なことは「いまはハードルでも、数年後はハードルにならないのでは」という視点も交えて考察すること。たとえば、いまはミルクを必要とするこどもでも、5年後には立って歩き、話し、幼稚園・保育園に通っているはずです。ファシリテーターからのそんなアドバイスをもとに、子育てママたちはワークに取り組みました。
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- 働きたいけど、働けない。本当の課題とは?
- ワークはいよいよ終盤へ。共通するハードルごとのグループにわかれ、大きな模造紙にマッピングしながらそれぞれの課題を深める作業に取り組みました。
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- そして「なぜ?」「誰に?」「いつ?」という切り口でブレイクダウンしていきながら、共通するハードルを整理してワークショップは終了しました。
- 働くための本当の問題を知ること。それが今回のワークショップの目的です。参加した皆さんからは「じぶんについてじっくり考えることができた。」、「今後どうしていきたいかが、少し見えた」といった声があがっていました。
- 今回のワークショップは、これで終わりではなく、スタートです。このワークショップでの成果は、企業と子育てママがいっしょに課題を解決していく『子育てママLIVING LAB.』プロジェクトへと活かされていきます。そして、さらに子育てに関する課題の抽出、アイデアの考案を繰り返し、具体的な商品・サービスへと発展していく予定です。WorMo’編集部も引き続き参加していきます。
リビングラボとは
サービス開発プロセスにエンドユーザーを共創的に巻き込んで継続的に進行するプロセスのこと。サービス開発の初期段階から、ユーザーをコミットさせ、サービスアイデアの創出、タッチポイントのデザイン、プロトタイピングといった一連の流れを継続的に共創的に行っていくモデルです。
子育てママ Living LABとは
子育てママの働き方と子育ての両面を支援していくために、生活者、行政、企業、クリエイターが参画する共創型のプロジェクトです。 6ヶ月程度の継続的なプログラム想定の基、生活者である子育てママに、ワークショップ等によるリサーチや直接的なインタビューをおこなうとともに、すべてのプロセスに積極的に関与してもらい、アイデアソンの繰り返し、ブラッシュアップ、ハッカソンという流れを基本に、企業の課題や技術シーズなどの要素も取り入れながらおこなっていくものです。
これまでに、大阪市東成区子ども・子育てプラザにて、子育てママ、クリエイター、大阪市や東成区の行政担当者、複数の大手企業などさまざまな立場の方が参加したキックオフイベント『子育てアイデアソン』を開催。今回の『"一歩前進"ワークショップ 働きたいけど働ける?と悩んでいる人へ』が第2回目となる。
文/田中陽太 撮影/出口コウ介