組織の力
18年間の赤字を半年で黒字化。チャレンジし続ける組織に〈後編〉
再建により得られた最高の実用実験場を持つハウステンボスの魅力
ハウステンボスの再建を成功させた澤田秀雄社長の次のチャレンジは、ロボットがフロント、クローク、ポーターなどの業務をこなし、究極の生産性とエンターテインメント性を兼ね備えたロボットホテルだった。「変なホテル」というこのホテルの名前は、「変わり続けることを約束するホテル」に由来する。常に最新の技術やアイデアを取り入れるハウステンボスは観光ビジネス都市であり、未来の構想の実用実験を行える最高の実験場でもある。それこそが、澤田社長が命運をかけて再建に取り組んだハウステンボスの真の価値なのではないだろうか。
最先端の観光ビジネス都市の
本領発揮
「変なホテル」外観。ホテルの象徴である “ロボット” が玄関にてお出迎え。このロボットには実際に人が乗ることができ、ハウステンボスのイベントに出演することもある。
ロボットホテルの先にある
未来予想図
ロボットホテルの先にあるものは、世界一生産性の高い植物工場を造ること。それによって、砂漠のように植物が育たないようなところでも食料がつくれるようになったり、生産者の年齢や人数に関係なく生産性の高い農業ができるようになったりなど、将来の食料不足に貢献できると澤田社長は考える。
エンンス風景。情豊かなフロント担当(左から新人の希望くん、ゆめ子さん、未来くん)は日本語、英語、中国語、韓国語と4か国語に対応。クローク担当のロボットアームは、荷物の出し入れ後に手を振ってくれるサービスも!
客室までもロボットが活躍。A棟には客室番号を登録すると自走で荷物を運び、エントランスに戻るポーターロボット。客室には日本語・英語対応の会話型ロボットちゅーりーちゃんが全室に完備。時刻や天気、室内温度を教えてくれるだけでなく、電気のオン・オフもしてくれる。
澤田 秀雄(Sawada Hideo)
ハウステンボス株式会社代表取締役社長。株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役会長。澤田ホールディングス株式会社代表取締役社長。旧西独・マインツ大学経済学部に留学後、1980年㈱インターナショナルツアーズ(現 ㈱エイチ・アイ・エス)を設立。その後ホテル業への進出と同時に1998年航空会社スカイマークエアラインズ(現 スカイマーク㈱)を就航し、国内航空料金低価格化のきっかけをつくった。1999年には協立証券㈱の株式を取得し金融業界にも進出。新しいことにチャレンジし続ける日本を代表する実業家。著書としてハウステンボスの再建を題材とした『運をつかむ技術』(小学館)、『H.I.S.澤田秀雄の「稼ぐ観光」経営学』(イースト新書)などがある。