組織の力

2016.06.23

チャレンジ精神を忘れない、サイバー流の人材育成とは?〈後編〉

トライ&エラーを高速回転させる社風

強い企業文化を持ち、チームで大きな成果を出し続けるサイバーエージェント。前編では、その社風を生み出す核となる人材育成のこと、採用に関することを伺いました。後編では、次々と新しい事業を生み出し、なおかつ「挑戦した敗者にセカンドチャンスを」というミッションステートメントを持ち、トライ&エラーできる環境作り、組織の制度などについて、社長室室長の胆畑匡志さんに伺った。

事業の撤退は
ポジティブなもの

「インターネット産業という特性もあって、新規事業やプロジェクトはどんどん創っていくのが当たり前なんです。メーカーのように、新しい商品を出すために工場を造るといった投資が必要ないので、創業当初から新しい事業にはどんどんチャレンジしています」
サイバーエージェントがこれまでに造った子会社の数は84社。現在、残っている会社は43社にものぼる。会社を設立したものに、撤退や吸収合併、株式売却など、現在グループ内に残っていない会社も多く、社内には“元社長”だった人が多くいるそうだ。
 
「どんどんチャレンジして、失敗しても再チャレンジしていける。むしろ、失敗の経験を次の事業に活かすことで成功の確率を上げられる。失敗に対してネガティブでないのは特徴かもしれないですね」
失敗した人に対して「可哀想」といった先入観もなく、逆に事業撤退を経験した社員は社内で引っ張りだこになるそうだ。「挑戦した敗者には、セカンドチャンスを」といったミッションステートメントにもなっている、再チャレンジへの応援は、なかなか大手企業では珍しいのではないだろうか。
 
「社長として、目標設定して、チャレンジするってものすごいことなんです。そんなチャレンジをした人に対しては尊敬こそしても、ネガティブなことはありません。どんどん創って、チャレンジして、失敗して、再チャレンジしている人たちを身近に見ているからこそ、それが当たり前なのかもしれません」
 
 
文/坂本真理 撮影/ヤマグチイッキ