仕事の効率化
2018.05.23
割り込み仕事は厳選・凝縮して取り組む
仕事の効率化8:頼まれ仕事の受け方に自分ルールをもつ
頼まれ仕事をすべて受けていると
忙しさから抜け出せない
自分の仕事を進めたいのに、急な頼まれ事ばかりで手がつかない......。こんな悩みを抱えている人はいないでしょうか。いわゆる「割り込み仕事」でスケジュールが埋まっている状態だと、当然ながら仕事のやり残しがたくさん出て、いつまでも忙しさから脱却できずストレスもたまるばかりです。
ですから、急な頼まれ仕事をすべて受けるのではなく、厳選して引き受けるのが鉄則です。
そこで今回は、割り込み仕事への対処方法を紹介します。実際には、「上司から振られた仕事だから受けざるを得ない」といったこともあるでしょう。それでも、頼まれる側もある程度は主導権を握り、「あの人ならいつでも、何でもやってくれるから」という雰囲気をつくらないことが大切です。
今回の記事は、連載第1回で紹介した「忙しさの7つのタイプ」のうち、タイプ1の「仕事を断りきれずにたくさん引き受け、抱え込んでしまう」という人に参考になるはずです。また、タイプ2の「割り込みタスクが入ると、仕事のスピードが落ちてしまう」に当てはまる人も、一読をお勧めします。
断るのではなく
3ステップでうまくかわす
時間にかなり余裕があるときならともかく、自分の仕事で手一杯なときは、割り込み仕事はできるだけ断りたいもの。とはいえ、単刀直入に「できません」と伝えると、悪印象を与えかねません。「断る」というより「上手にかわす」というイメージで、以下の3ステップで対処してはいかがでしょうか。
ステップ1:実際には引き受けたくない仕事であっても、「考えてみましょう」「前向きに検討します」とポジティブに受け止める発言をします。やりたい意思はあるというメッセージを発信するわけです。
ステップ2:前向きな姿勢を示したうえで、「今日の17時までにリーダーに営業提案用の企画書を提出することになっていて」など現在の仕事状況をできる限り具体的に伝えます。「それだけ急ぎの仕事をしているなら、受けてもらうのは厳しそうだな」と気づいてもらうことが目的です。
ステップ3:ステップ2の説明で「現時点で頼み事を引き受けるのは難しい」と示したうえで、「今日は着手できませんが、明日中でよければ17時までにはやります」と代替案を提示します。これで相手は、「自分の頼み事について真剣に検討してくれている」と感じ、あなたへの評価は確実に上がります。
引き受ける前に
3つのポイントを必ずチェック
それでも相手が頼み事を取り下げなかったら、その案件の内容について以下の3つのポイントを確認するのが鉄則です。そのうえで、引き受けることができるか、または自分がやるべきかを検討しましょう。なお、仕事を任せる側も、この3つの観点を整理してから依頼することがマストです。
①タスクの期限
「急ぎで」「今週中に」「午前中に」などの頼み方はいずれも、具体的な締め切り時間が不明確です。また、焦っている人は「大至急お願い」といった言い方をよくしますが、その言葉を真に受けて最優先で終わらせたら、実際にはもう少し後でも問題なかった......というケースは少なくありません。必ず具体的な日付と日時を確かめてから、自分の予定とすり合わせましょう。
ただし上司から頼まれた仕事について、「何日の何時までですか?」と質問すると、生意気にみえることもあります。この場合は、「早急なら、20日の13時頃を目安にしてもいいでしょうか?」と自分から提案するのがお勧めです、波風が立たないだけでなく、スケジュールをある程度自分でコントロールできるメリットもあります。
②タスクの目的
何のために、誰に向けてその仕事を行うのかも必ず確認すべきです。そのことによって、自分が引き受けることが本当にベストなのかを判断する材料ができます。そのうえで、例えば「営業会議のための情報収集なら、マーケティング課の○○さんの方が慣れているのではないですか?」などと指摘すれば、割り込み仕事を一定数はカットできます。
③タスクの完成レベル
「できるだけ」「できるところまで」といったアバウトな頼み方をしてくる人は少なくありません。しかし、この状態で引き受けてしまうのは危険です。特に上司から依頼された場合は、できるだけたくさんこなすことが求められ、自分の仕事を後回しにして多くの時間を割かなければなりません。「20ページ分」や「5件」など、具体的な完成レベルを必ず確かめましょう。
鈴木 進介 (Suzuki Shinsuke)
経営コンサルタント。独自の思考整理術を構築し、「思考の整理家」として、現在では一部上場企業からベンチャー企業までコンサルティング実績は100社以上。講演会や人材教育の分野でも活躍する。『1分で仕事を片づける技術』、『1分で頭の中を片づける技術』(共にあさ出版)など著書多数。