組織の力
2019.11.29
コミュニケーションの場づくり
コミュニケーションツールの進化は
コミュニケーションの進化?
企業の電子メール導入率が50%を超えたのが1997年。携帯電話の世帯普及率が50%を超えたのは1998年。それからたった15年の間にテレビ会議やSNS(ツイッターやフェイスブックなど)、スマートフォンなどコミュニケーション手段は多様化が進み、時間や場所にとらわれないコミュニケーションは当たり前のものとなってきています。
しかしそのころと比較して社内コミュニケーションが円滑になったという実感はあるでしょうか。むしろ難しくなっていると考える人が増えているように思います。
その背景には、コミュニケーションの形が複雑になっていることも要因として考えられます。従来は上意下達の情報伝達、同じチーム内での情報共有といったコミュニケーションが中心でしたが、現在では、それに加えて、複雑化する経営課題や顧客の要求に対し、迅速な判断が求められるため、異なる専門能力を持った人たちとの部門横断的なコミュニケーションが増えてきています。
またコミュニケーションツールが多様化しているにも関わらず、どのようにコミュニケーションをとればよいかについて学ぶ機会が少ないことも課題でしょう。当たり前の話かもしれませんが、デジタルコミュニケーションが進化してもフェイストゥフェイスの方が良いことも多分にあります。「席が隣なのに全てメールで会話」といったことが笑い話ですめばよいのですが、状況や内容によってふさわしい方法があるはずです。
コミュニケーションの目的に
あった場をつくるとは
現状、オフィスの約2割のスペースが会議室などコミュニケーション空間に割り当てられており、その割合はここ数年増加傾向にあります。極端な言い方をすると、個人ワークは家でも外でもできるようになってきており、オフィスは「人と人が会う場」という考え方が今後さらに重要になってくるかもしれません。
そんな中、オフィスではどのようなコミュニケーションが取られているでしょうか? コミュニケーション空間の分類方法はいくつかありますが、ここでは「アイディアを出す(発散)」か「考えをまとめる(収束)」を縦軸とし、「予定を決めている(計画的)」か「ちょっとした打ち合わせ(偶発的)」を横軸として4つのパターンに分類し、そこで行われるコミュニケーションの目的を整理しました。
コミュニケーションとー口でいってもその目的はさまざまです。その時々で必要な空間機能やバランスを考慮してスペースを配置することで、そのコミュニケーション空間自体が「どんなコミュニケーションを取るべきか」ということを社員に教えてくれるでしょう。
空間をつくるだけじゃない
効果を最大にするためにできること
しかし、せっかくお金をかけて今までにないようなコミュニケーションスペースをつくったとしても、「ホワイトボードをうまく使えていない」「喫煙室はいつも盛況なのにカフェスペースはまったく活用されていない」といった悩みもよく聞きます。
今までのやり方に慣れている人は、きっかけがないと新しい環境になじみにくいものです。導入時に空間の使い方を示したり、うまく使ってもらうための運用の仕掛けもあわせて考えてみましょう。
例えば「カフェタイプ」で考えてみると、ドリンクやスナックで人をひきつけ、少し滞在できるように雑誌などを用意する。ソファーだけでなく、仕事でも使えるような家具にしておくなどちょっとした仕掛けで利用率は大きく変わります。偶然の産物ですが、ある企業ではスペース削減のために奇数階のみにリフレッシュスペースをつくったところ、フロアを越えたコミュニケーションかうまれたそうです。運用までを含めてはじめてコミュニケーションの「場づくり」が完成するのかもしれません。
オフィスのチカラ
この記事は、コクヨ株式会社が発行する冊子『オフィスのチカラ』に掲載されたものです。冊子『オフィスのチカラ』をご希望の方は、こちらのフォームの「カタログのご請求フォーム」の「家具単品カタログ」の枠に『オフィスのチカラ』最新号希望とご記入の上、ご送信ください。