リサーチ

2021.02.09

テレワークのコミュニケーションは経験値が鍵?

重要なのは「時間」と「頻度」

新型コロナウイルスの影響によって急速に普及したテレワークだが、突然の変化に戸惑ったビジネスパーソンも多いだろう。アデコ株式会社は2020年7月、『2020年4月発出の緊急事態宣言に伴うテレワークの実態についての調査』を実施した。

テレワークの一番の課題は
コミュニケーション

2020年春、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下で、テレワークが大々的に推進された。収束が見えない今、継続してテレワークを実施している企業もある。

テレワークの実施にあたって課題視されることの一つに「コミュニケーション」の問題がある。オンライン中心のコミュニケーションでは、「物足りない」、「行き届かない」と感じているビジネスパーソンは多く、部下と綿密なコミュニケーションを取りながらフォローする立場の管理職にとっては、特に大きな課題となっているようだ。



経験値が高い人ほど
オンラインコミュニケーションが上手い

『2020年4月発出の緊急事態宣言に伴うテレワークの実態についての調査』は、50人以上の従業員がいる会社に勤めている正社員で、3人以上の部下がいる20~59歳の男女(600人)を対象に行われた。さらに、回答者は以下の条件で2組に分類された。

①テレワーク経験のある管理職(300人)(2019年までに2~3日/月以上、緊急事態宣言後に週4日以上テレワークをした人)
②テレワーク未経験の管理職(300人)(テレワーク未経験で、緊急事態宣言後に週4日以上テレワークをした人)

緊急事態宣言下でのテレワークについて、①テレワーク経験のある管理職の67.0%が「部下と十分にコミュニケーションを取れた」と回答。これは、②テレワーク未経験の管理職よりも約15ポイント高く、緊急事態宣言前のテレワーク経験の有無が、部下とのコミュニケーションの質に影響していることが伺える結果だった。

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ポイントは時間と頻度

緊急事態宣言下のテレワークにおける部下とのコミュニケーションについて、「時間」と「頻度」の変化を聞くと、①テレワーク経験のある管理職は、時間・頻度ともに「増えた」と回答した人が、②テレワーク未経験の管理職よりも多く、コミュニケーションに対する意識が高いことが読み取れた。

また、①テレワーク経験のある管理職は「頻度」を増やし、②テレワーク未経験の管理職は「時間」を増やしたという傾向が見えた。テレワーク経験者のほうが未経験者より、端的でスピーディーなやり取りができる「チャット」を、連絡ツールとして積極的に活用しているという結果も出ていた。

テレワーク下では、一度の連絡は手短にするほうが、双方の負担や時間のロスが少ない。じっくりコミュニケーションを取ることも大切ではあるが、長時間のやり取りで多くのトピックスについて会話して疲労するより、要点を押さえた簡潔なコミュニケーションを、必要なタイミングでコマメにとることが、部下の安心感にもつながるのではないだろうか。

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経験によって
テレワークのコミュニケーションはうまくなる

「マネジメントをする立場として、テレワークを実施して良かったと思うこと」を聞いたところ、「業務の効率が上がる」、「部下の自律心が向上する」という項目で、①テレワーク経験者と②テレワーク未経験者の間に圧倒的な差がついた。

テレワークが業務効率化や自律心向上につながるかどうかは、部下一人ひとりの責任感や業務遂行能力にもよるが、経験者と未経験者でこれだけの差が出ているのは興味深い。この差は、テレワーク最大の課題でもあるコミュニケーションに因るところが大きいのではないだろうか。

テレワーク下でコミュニケーションの経験値を上げていくことで、より生産的で価値のあるものに昇華できる...ということを示唆しているように思える。

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調査からは、テレワーク経験の有無が、緊急事態宣言下のテレワークにおいて、コミュニケーションやテレワークそのものへの手応えに影響していることが読み取れた。

新型コロナウイルス感染拡大という未曾有の事態によって急遽テレワークが実施され、多くのメリットを享受した一方で、初めてのテレワークに戸惑い、マネジメントの面で苦労した管理職も多いだろう。

しかしこの調査結果は、「テレワークは経験を重ねることでステップアップできる」ということを示しているのではないだろうか。

緊急事態宣言下でのテレワークは、企業やビジネスパーソンにとって貴重な経験であり、今後の働き方を変える大きな契機になったとも考えられている。

新型コロナウイルスが収束した後も、働き方改革の一環としてテレワーク推進は続くだろう。この流れに適応するためにも、テレワーク経験を積むことが重要であり、成功企業のノウハウなどを参考にしながら、それぞれの企業や組織、個人の働き方に合わせた円滑なコミュニケーション方法を確立していくことが必要ではないだろうか。

【出典】アデコ株式会社『2020年4月発出の緊急事態宣言に伴うテレワークの実態についての調査』

作成/MANA-Biz編集部