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2021.12.07

サーキュラーエコノミーとは?リサイクルやリユースと何が違うのか

知っておきたいトレンドワード2:サーキュラーエコノミー

環境に配慮した持続可能性の高い経済システムとして注目される循環型経済の「サーキュラーエコノミー」。リサイクルやリユースと何が違って、今、企業はどんな取り組みをしているのか?

サーキュラーエコノミーってなに?

サーキュラーエコノミー(Circular Economy)とは、日本語訳で「循環型経済」。これまで経済活動のなかで廃棄されていた製品や原材料などを「資源」と考え、リサイクル・再利用などで活用し、資源を循環させる、新しい経済システムです。

世界的な人口増加と経済成長を背景に、大量生産と大量消費が繰り返されるなかで、処理しきれなくなった大量の廃棄物が自然環境を汚染し、生態系にも甚大な被害を与えています。また、資源や自然エネルギーにも限りがあるなかで、地球環境を守りながら経済を持続していくためには、循環型の経済システムに変えていく必要があるのです。




サーキュラーエコノミーの循環システムってどうなってるの?

サーキュラーエコノミー(循環型経済)では、消費された製品を資源としてリサイクルします。その循環は「資源の抽出→製造→消費→リサイクル・再利用(=資源の抽出)→製造」です。製造の段階からリサイクルや再利用がしやすい設計にすることで、廃棄物を最小限に抑え、新しい資源の利用も最小限にすることができます。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)に対して、従来の経済システムのことを、リニアエコノミー(Linear Economy)、「直線型経済」と言います。リニアエコノミー(直線型経済)は、「資源の抽出→製造→消費→廃棄」という一方向のみの流れで、最終的に大量の廃棄物を生み出してしまいます。

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図版出典:資源循環政策の現状と課題(経済産業省 産業技術環境局 リサイクル推進課)



サーキュラーエコノミーの3原則

国際的なサーキュラーエコノミー推進団体であるエレン・マッカーサー財団が、「サーキュラーエコノミーの3原則」として、このような内容を示しています。

  • 1.廃棄物と汚染を生み出さないデザイン(設計)を行う
  • 2.製品と原料を使い続ける
  • 3.自然システムを再生する




サーキュラーエコノミーと3R、似ているけど何が違うの?

Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の頭文字をとって3Rと呼ばれています。

  • リデュース:ごみの発生を抑制した製品づくりをする
  • リユース:同じものを繰り返し利用する
  • リサイクル:廃棄物を資源として再活用する

サーキュラーエコノミーとよく似ていますが、3Rでは廃棄物をできるだけ出さないようにしたり(リデュース)、再活用したり(リサイクル)しますが、少なからず廃棄物が出ることが前提になっています。

これに対してサーキュラーエコノミーでは、「そもそも廃棄物と汚染を発生させない」という考えが軸になっています。製品をつくるときから再利用やリサイクルがしやすい設計にすることや、製品寿命をのばすためのメンテナンス、リースやシェアリングによる利用効率の向上なども重視されています。




サーキュラーエコノミーとシェアリングエコノミーの関係性は?

シェアリングエコノミー(共有経済)とは、インターネットを介して、個人や企業が持っているモノ・場所・スキル・時間などを貸し借りする経済モデル、またはそのサービスのことです。今ある資源・資産を活かして廃棄物が出るのを防ぎながら、同時に経済効果を生むという点で、サーキュラーエコノミーの一例と言えます。 シェアリングエコノミーは、消費者同士(CtoC)の取引が多いのが特徴で、生活のなかで実践しやすいサーキュラーエコノミーの取り組みです。

〈シェアリングエコノミーの5つの領域〉

  • 空間(Space):民泊、ホームシェア、駐車場シェアリング
  • スキル(Skill):家事代行、子育てシェア、クラウドソーシング
  • 移動(Mobility):カーシェアリング、ライドシェアリング、シェアリングサイクル
  • お金(Money):クラウドファウンディング
  • モノ(Goods):フリマアプリ、レンタルサービス




サーキュラーエコノミーの事例

今、サーキュラーエコノミーへの取り組みは、世界中の企業に広がっています。


Loopプロジェクト

世界20か国以上でリサイクル事業を手がけるアメリカのテラサイクル社が2019年からスターとさせたプロジェクトです。パッケージ(容器)を企業の財産と考え、商品の使用後にパッケージをメーカーが回収、洗浄して再利用します。配送時に必要な緩衝材や梱包資材もリユースできるため、プラスチックごみを大幅に削減できます。

日本では、アース製薬、味の素、江崎グリコ、エステー、大塚製薬、キッコーマン、キヤノン、キリンビール、資生堂、P&Gジャパン、ユニ・チャーム、イオンといった大手企業が参画し、2021年3月から日本版「Loop」が始動しています。



エシカルなモジュール式スマートフォン(フェアフォン)

オランダのフェアフォン社(Fairphone)は、2013年に「エシカルなモジュール式スマートフォン」の販売をスタートしました。エシカルとは「倫理的」という意味で、法的な縛りはなくても倫理的に正しいと思うことを実践して、社会的課題を考慮しながら消費活動を行うことを「エシカル消費」といいます。 フェアフォンのスマートフォンはモジュール式(システムの機能をグループ分けして、機能単位で独立したユニットを編成する方式)なので、壊れてもその部分のパーツを買い換えるだけで誰でも簡単に修理が可能。ひとつのスマートフォンを長く使うことができます。



Reuse-A-shoe (NIKE)とPARLEY OCEAN PLASTIC (Adidas)

世界的なアパレル・スポーツメーカーであるNIKEとAdidasも、サーキュラーエコノミーに積極的です。 NIKEは、1992年から使用済みシューズや不良品を回収して寄付・修理・リサイクルする「Reuse-A-shoe」に取り組んできました。炭素と廃棄物の排出量ゼロをめざして「Move to Zero」を掲げ、プラスチックボトルを再利用した再生ポリエステルや再生レザーも活用しています。

Adidasは、海岸で回収されたプラスチックごみをアップサイクルした素材「PARLEY OCEAN PLASTIC」で有名です。また、単一素材で作って使用後に回収・溶解することで100%再生可能なランニングシューズ「FUTURECRAFT.LOOP」を生産予定です。

NIKEの取り組み
Adidasの取り組み



日本企業の事例

ファストファッションブランドのユニクロを展開するファーストリテイリング社は、全商品をリサイクル・リユースする「RE.UNIQLO」を進めています。また、ジーンズの加工時に水の使用量を最大99%削減したり、科学物質や有害物質を出さないように配慮するなど、積極的な取り組みを行っています。

ファーストリテイリングの取り組み


作成/MANA-Biz編集部