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ビジネスのあらゆる場面を支える、データドリブンとは?
知っておきたいトレンドワード24:データドリブン
デジタル化やIoTの進化によってこれまで以上に多くのデータが早く集まるようになり、経営やマーケティングに限らず、幅広い分野で注目を集めているデータドリブン。経済活動にデータ活用が求められるようになった背景や取り組む意義、実践するプロセスについて解説する。
データドリブンとは
データドリブンとは、勘や経験ではなく収集したデータの分析結果に基づき、データを起点として意志決定やアクションを起こすことを意味しています。使われるデータには、売り上げデータ、顧客データ、財務データのほか、マーケティングデータ、WEB解析データなどがあります。先々の予測が難しい時代だからこそ、新しいアイデアの創出や業務の効率化に、意志決定のエビデンスとしてデータを活かす必要性が高まっています。
データドリブンが求められる背景
経営やマーケティングにデータドリブンが求められるようになってきた背景として、顧客の変化と技術の変化があります。
顧客行動の複雑化
インターネットやSNSの普及によって得られる情報量が増えた結果、顧客ニーズや動線も多様化・複雑化しています。リアルとWEBを行き来しながら購買する顧客が、どこで何を見て自社の商品やサービスにたどり着き、何を求めているのか、より深く理解することが求められています。
ビックデータの普及と技術の進化
ビッグデータやAI、デジタルマーケティング技術の発展により、企業はこれまで以上に多くのデータを収集・蓄積できるようになり、データ活用の幅が広がりました。これらをAIも活用しながら分析することで予測や最適化が可能になり、新たなビジネスチャンスに活かそうとする企業が増えています。
データドリブンを行うメリットと注意点
データドリブンを取り入れる事はメリットが多く、ビジネスの成功において欠かせないものになっていますが、誤った意志決定や行動をしないために注意が必要な場面もあります。
データドリブンを行うメリット
ビジネス環境や顧客行動の変化が大きく、これまでの経験や勘に頼れなくなりました。しかしデータドリブンを行うことで、客観的根拠に基づく正確で再現性の高い意志決定が可能です。その結果、多様な選択肢の中から費用対効果の高いものを選ぶこともできるため、無駄なコストの削減にもなり、ボトルネックも特定しやすくなります。 関連する部門やステークホルダーからの理解や承認も得やすいでしょう。また顧客ニーズや行動の把握によって、市場の変化にスピーディーに対応しながら、よりパーソナライズされたマーケティングやサービスの提供も実現可能になります。
注意が必要な場面
ゼロイチでの発想そのものや判断に倫理性が求められる場面などは、データドリブンでの意志決定はあまり適さないでしょう。目的が曖昧なままデータ収集を行うと不要なデータまで大量に蓄積され、管理や分析に無駄な時間がかかることになります。 また、データドリブンにはある程度コストや下準備が必要になるため、小規模でスピード感ある意志決定が求められる場面では見合わない場合もあります。 データドリブンにはデータ収集や抽出、分析によって課題解決に向けた提案ができる高度なスキルや知識を持つ人材が必要です。実施に向けてまずは体制やシステムを含めた環境づくりから行う必要があります。
データドリブンを実践するプロセス
データドリブンを成功させるための具体的なプロセスを見ていきます。膨大なデータから意志決定を行うには「データを使って何をしたいのか」というデータドリブンの目的を明確にすることが重要です。その目的に添って、次の4つのステップで進めていきます。
1.データ収集
まずデータを収集する仕組みが必要です。顧客管理システム(CRM)やDMP(Data Management Platform)の導入など、業務システムなどからデータを収集して蓄積し、必要な条件で抽出できる土台づくりが必須となります。自社の目的に合わせて最適な基盤を選択することと、部門ごとにデータがサイロ化してしまわないよう組織全体で一元管理できるシステムの構築も必要となります。
2.データの可視化
収集したデータはそのままでは使えないため、分析できるようにデータを加工して可視化する必要があります。膨大なデータを活用できる状態にするために役立つのが、BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)やWEB解析ツールです。BIツールとはデータを統合したり、加工や集計して見やすくしてくれるツールで、WEB解析ツールとは自社サイトのユーザー行動や検索エンジンでの結果を可視化・分析するためのツールです。 より正確な分析ができるよう、グラフや図表など読み取りやすい状態にビジュアル化することも重要です。
3.データ分析
データサイエンティストなど高度なスキルと知識を持った専門家が、抽出したデータをさまざまな角度から分析し、関連性や変化、傾向などの意志決定に必要な情報や仮説を導き出すプロセスです。AIはデータを抽出することはできますが、ここから何を読み取り判断するかはまだまだ難しいため、対応できる人材が必要となります。
4.アクション
データの分析結果を基に具体的な施策の決定や経営判断を行います。データが導き出した仮説に基づき、PDCAを回して次のアクションや素早い改善に活かすことも意識することが重要です。また、いくらデータ収集して分析しても現場で活用されなければ意味がないため、データに基づく意志決定をしていくという組織風土を社内全体に浸透させることも必要不可欠といえます。
まとめ
データドリブンな経営には、データに基づく意志決定を行うという企業文化を全社的に浸透させることが必要です。経済産業省が発表したレポートでは「DXが進まなければ2025年以降最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と言及されていたように、DX推進やデータ活用を加速させることは競争力を維持するために必要不可欠なものとなっています。 一人ひとりがデータドリブンのメリットを理解し、必要なデータが何かを踏まえたうえで、まずは社内にあるツールやシステムなどを使ってデータに触れてみることで、業務にどうデータを活かすことができるかイメージするところから始めてみましょう。