ライフのコツ
あそんでみました!キッズデザイン受賞作品
こどもの創造性をひらく商品を徹底分析 後編
キッズデザイン賞受賞作品の中からWorMo‘編集部がセレクトしたオススメの玩具を紹介する後編です。今回は、編集部メンバーが、素材や形に特徴のある3種類の積み木の、特徴を活かしたあそび方や、身近なモノとの組み合わせ方を紹介。こどもといっしょに新しいあそびに挑戦してみませんか。
キッズデザイン賞受賞作品の中からWorMo’編集部がセレクトしたオススメの玩具を紹介する後編です。今回は、編集部メンバーが、素材や形に特徴のある3種類の積み木の、特徴を活かしたあそび方や、身近なモノとの組み合わせ方を紹介。こどもといっしょに新しいあそびに挑戦してみませんか。
WorMo’編集部
河内律子/WorMo’編集長。工学分野を修了後、教育業界を経て、知育教室や保育施設のプロデュースを歴任。3歳男児のワーキングマザー。
疋田千束/学び関連の記事を担当。保育士・幼稚園教諭資格保有者として幼児教育のプログラム開発や受験指導など豊富な経験と知識を持つ。
栗木妙/ワークスタイル関連の記事を担当。イギリスでMuseum Studiesを修了し、美術とこどもの学びを繋ぐアートエデュケーターとして活躍。
安永哲郎/リサーチとインキュベーションを担当。保育施設のプロデュースやワークショップなどの運営を経て、創造性に関する研究に従事。
- 雫のような積み木『WooDrop』
(2010年度 フューチャープロダクツ部門 キッズデザイン賞受賞) - ヒノキの手ざわりや
年輪も気づきにつながる - 疋田:形は積み木っぽくないね。ヒノキでできていて、木に携わって40年以上になる職人さんが一つひとつ手作業でつくっているんだって。
栗木:手仕事だから、どれも少しずつ形が違うんだね。なんだかすごくスベスベしてて、ずっと触っていたくなる。きもちいー。
安永:尖ってないから、小さい子でも危なくないし、思ったより重くなくて、握りやすいですね。
河内:形や大きさが違うから、どれが握りやすいとか、好みがあるかも。わたしはどれかな...。
疋田:私はこれかな。手にちょうどいい大きさ。 -
- 河内:私は、(積み木を触り比べて)あっ、これが好き。
栗木:ずっと触ってると、なんだかいい香りがしてきたよ...木の香りかな。
疋田:ほんとだ、落ち着く香り!
河内:えっ、香りなんてする?よくわからないけど?
安永:(積み木を差し出して)これ、香りしますよ。
河内:あっ、ほんとだ!この積み木は香りがする。でも香りがしない積み木もあるよ。
栗木:そうかな?(積み木の香りを比べて)、どれもするけど、香りの強いものと弱いものがあるみたいよ。
安永:確かに、少しずつ香りが違いますね。
栗木:積み木だけど、素材の良さを活かしてるから、香りを比べたり、感触を楽しむことができるね。
疋田:五感が刺激される積み木だね。 -
- 安永:よく見ていると年輪の出方も気になります。これをきっかけにして樹木の年齢について話してもいいですね。
栗木:こんなのはどう? 同じぐらいの石と比べて「どっちが重そうに見える?」とか。
疋田:水に入れたらどうなる? とか。重さは目で見えないからね。似たモノと比べてみると、「同じ体積でも、石は木に比べて重量がある」みたいな感覚をつかめるね。 - 積み木らしからぬ形状で
あそびのバリエーションが拡がる - 河内:でもこれ、積み木っぽくない形だけどちゃんと積めるの? (積んでいた積み木が崩れる)あー失敗。簡単じゃないからこそ、「どうやったら崩さないで積めるかな」って考えて、すごく集中して上手い積み方を編み出すかもね。
疋田:この年輪、口みたいにみえる。目もつけてみようかな。(ひっつき虫を目に見立てて付けて)ほら、笑ってる顔みたい。
栗木:せっかくだから胴体や足もつけてみない?
疋田:ほんとだ!年輪が口にみえるから、「わー」って言ってる人みたい。
河内:うちの子だったら、この形から新幹線をつくりそう。新幹線が大好きだから、なんでも新幹線なんだよね(笑)。
栗木:じゃあ、 (ひっつき虫で積み木をつなげて)こうやったらどうかな。ほら、連結に見えるし、そっとだったら引っ張って動かすこともできるよ。
疋田:好きな形や手触りのモノをこどもと一緒に選んで、「これは何に見える?」って見立てあそびをしてもいいんじゃない。
栗木:色も形もシンプルだから、単体でも飽きがこないし、あそびのバリエーションも広くて、想像力が膨らむね。 -
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【雫のような積み木の編集部おすすめポイント】
・素材の香りや感触も気づきにつながる
・見た目や重さの比較など、科学的な感覚も刺激する
・自然素材ならではの見立てあそびも楽しい
・シンプルで飽きがこない上に、想像力が膨らむ
- つみき黒板
(2011年度 フューチャープロダクツ部門 キッズデザイン賞受賞) - 多面に絵を描くことで
「つながり」を考える力が養える - 河内:この積み木は表面に黒板のような塗装がしてあるんだね。何も描かなくてもスタイリッシュでステキ。
安永:テーブルに置くと、影とつながってるみたいで不思議ですね。
疋田:私、小学生の時は黒板って好きじゃなかったな。チョークで書くとキーッて音がして...。(積み木に絵を描き始めて)でもこの塗装は滑らかだから大丈夫みたい。付属品のチョークも色が多彩!
栗木:どの面にも描けるのが面白いよね。この正方形のタイプならサイコロみたいに数字を書いてもいいし、立体で続き物のマンガを描くのもアリかも。こどもは自然と「つながり」を意識するよね。親子で順番に絵を描いて、お話を展開させるのはどう? -
- 河内:(渡された積み木を受け取って)これ、相手が描いた面を見る瞬間が楽しい! こどもも、「どうやったらびっくりさせられるかな?」って思うよね。そこで考える力が育まれそう。
- 建物や街に
目を向けるきっかけにも - 安永:積み木だから、二つの立体で一つの形をつくることを考えてもいいですよね。この正方形と三角柱を使っておうちをつくるとか。こうやって窓や屋根を描けば...。
栗木:わ、ホントにおうちっぽい。(長方形の積み木に窓を描いて)ほら、これはビル。「おうちとビルとどっちが大きい?」なんて会話をしながらだと、比較の視点も養えるね。 -
- 疋田:(スケッチブックに道路を描いて)ここに積み木をのせれば、街みたいでしょ。
安永:それいいですね。いろんな形の積み木があるから...たとえば、これとかは車。
疋田:じゃあ、(円筒形の積み木を手にしながら)これには人とか犬とか描いてみようかな。
栗木:(円筒形の積み木を見ながら)こっち向きだと人が見えて、こっち向きだと犬なんだ。クルクルしながらあそんだら楽しい!
河内:こうして並べると立派な街になった!
疋田:「うちの近くにはどんなお店があるかな?」って話しながら、身近な場所に目を向けさせていくきっかけにもなるね。 - 河内:私はこの三角形がなんか動物にみえてしかたがない。何かつくれない?
- 栗木:顔を描けばそれっぽくなるかも。(付せんを積み木に貼って)こうやって耳をつければ、ほら、ウサギ。
河内:それいいね!私はハリネズミつくろっかな!(ハリに見立てた付せんをたくさん貼りながら)ほら、ハリネズミみになったよ。
安永:(スケッチブックに野原や森、空を描いて)動物にふさわしい舞台といえば大自然でしょう。こうやって箱庭あそびっぽいこともできますね。見た目はシンプルだけど、創造性を無限に引き出すアイテムだな。 -
【つみき黒板の編集部おすすめポイント】
・「つながり」を意識したお絵描きを通して、考える力を育む
・立体同士の組み合わせや比較の視点も養える
・身近なものへの気づきにつながる見立てあそびができる
・見た目はシンプルなのに創造性を無限に引き出す
- のびる紙ねんど
(2013年度 感性・創造性部門 キッズデザイン賞受賞) - 質感の面白さに加えて
色について学べる楽しさも - 安永:この粘土の特徴は、とにかくよく伸びることなんですよ。
疋田:あれ? ちぎれちゃう。
安永:たたんだり伸ばしたりしてよくこねると...ほら(粘土が長く伸びる)。
河内:すごい! トルコアイスみたい。手触りも軽くて気持ちいいね。手にくっつきにくいし。
疋田:(粘土をこねながら)こうやってると伸びやすくなっていくんだね。だんだん質感が変わっていくところが新鮮。きっと、こどもは「とにかく伸ばしたい!」って思って、夢中になってこねるよね。 -
- 安永:さらにこの粘土がすごいのは、違う色どうしの粘土を混ぜて新しい色がつくれることらしいです。例えばこうやって赤と黄色を混ぜると...。
栗木:あ、赤と黄色のマーブル模様がきれい...と思ったらちゃんとオレンジ色になった! じゃあ私は、赤と青を混ぜて紫色をつくってみよう。こんなふうにして混色しながら色の基本が学べるのは、すごく面白い。 - 気ままにあそびながら
アート作品がつくれる - 疋田:こどもだったら、全色を混ぜようとするだろうなー。たぶん黒っぽい色になるんだけど、全ての色を混ぜるとどうなるのか体感できるのは重要だね。
河内:これだけよく伸びる材質だから、ふつうの粘土あそびじゃもったいないよね。何つくる?
安永:伸びるという特徴を利用して、長いものに巻きつけても楽しそうですね。デコ鉛筆なんて。 -
- 河内:いっそ形がないものをつくるのも面白いんじゃない? 例えばこんな感じで(伸ばしたひも状の粘土をクリアファイルに載せる)...なんかアートっぽくない?
栗木:ホントだ現代アートっぽい、ナイスアイデア!顔料とかをキャンバスに飛び散らせて作品にする、アクション・ペインティングみたいに見える!
河内:なんかすごく楽しくなってきた!もっといろんな色を重ねたいな。
安永:すごく楽しんでますね。目が輝いてますよ。
疋田:大人でもこんなに楽しめるなら、こどもだって絶対楽しいね!
栗木:粘土だと色も無限につくれるから、すごく個性的な色の作品がつくれそう。それに、できた作品をフレームに入れて飾ったりすれば、立派な現代絵画になるね。
疋田:部屋に飾ってあげれば、こどもはすごく嬉しいだろうな。「アートは身近で楽しいものなんだ」って感じてもらえるね。
河内:他にも、固まったらハサミで好きな形に切って、ブローチやしおりにするとか...ここからまた新しい制作につなげられそう。
安永:粘土を切って作品にするって斬新ですね。粘土って立体制作のイメージだけど、絵画制作したり、切って別の作品もつくれるなんて新しくて面白い。制作の幅が拡がりますね。 -
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【のびる紙ねんどの編集部のおすすめポイント】
・こどもが大好きな、軽くて柔らかい手ざわり
・弾力があり長くのびるので、こねて伸ばすだけでも楽しい
・こどもの"混ぜたい願望"をくすぐり、楽しく混色実験ができる
・紙ねんどだから、固まったら作品として形に残せる
・感触体験、実験、制作といった、さまざまな活動が楽しめる
- 商品紹介
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文/横堀夏代 撮影/野村一磨