組織の力

2016.09.13

人事データベースを活用した、最先端の人事施策〈前編〉

セプテーニが導き出した「人材育成の方程式」

インターネットマーケティング事業を中心に、新規事業の創出にも力を入れている株式会社セプテーニ・ホールディングス。年々加速する事業の成長戦略を支えるためには、戦力となる人材の採用と人材の育成強化が大きな課題になっていた。それを解決すべく考えられたのが『人材育成エンジン』である。果たして、『人材育成エンジン』とはいったいどんなものなのか。このエンジンの生みの親である専務取締役の上野勇さんと、現場で開発に関わった人的資産研究所の進藤竜也さんに『人材育成エンジン』のコンセプトや考え方について伺った。

戦力化する人材を見極める
独自の選択眼が必要だった

5年前から『人材育成エンジン』というテクノロジーを活用した、画期的な人事施策に取り組んでいるセプテーニ・ホールディングス。そもそも、この『人材育成エンジン』を導入した理由や背景はどこにあるのだろうか? 上野さんによると、10年以上前に現社長の佐藤光紀さんに紹介された書籍がきっかけだという。
「『うちでもこういうことができたら会社も発展しますよね』といって薦められたのが『マネーボール』(早川書房)でした」(上野氏)


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『マネーボール』とは、資金力のない弱小球団が、独自の野球理論により、豊富な資金力をもつ強豪チームを打ち負かし、メジャーリーグを制覇した実在のGM(ジェネラルマネージャー)の活躍を描いたノンフィクション書籍。ハリウッド俳優により映画化され、大ヒットした。

「あの本のポイントは、既存のやり方ではなく、独自の選択眼で戦力となる選手を分析・評価し、適材適所に配置して、最大限のパフォーマンスを発揮させたことにあります。当時、私たちベンチャー企業も知名度もなければ、潤沢に予算があるわけでもなく、競合もひしめく中、戦力となる人材を集めるのに苦労していました。ようやく競争に勝ち、優秀であるだろう人材を採用できたとしても、戦力になるかは未知数。まさに、あの弱小球団と同じ境遇です。そこでもし、戦力化する人材を自分たちで目利きできれば、他社と競争せずとも、自分たちで集められる。『マネーボール』のサクセス・ストーリーをヒントに、この『人材育成エンジン』の構想はスタートしました」(上野氏)



文/西谷忠和 撮影/ヤマグチイッキ