組織の力

2020.03.19

オフィスの片づけ術

オフィスにおいて書類の電子化が進んでいるにもかかわらず、書類削減はまだまだ大きな課題として挙げられています。ファイリングとは書類を「減らす」、「きれいに並べる」ことが目的ではありません。書類を使用する業務をスムーズに行うために、日々発生する書類を一定のルールに沿つて、分類・整理して共有し、保管から保存、廃棄への流れを運用するしくみです。
コクヨが過去に行つた調査では、一般的なピジネスパーソンが書類を捜すのに費やすのは年間150時間。たった5分ほどの探し物でも1日に数回あれば積み重なって大きな無駄となっています。「いつか必要になるかも」とためこんだ書類も、必要なときにすぐに出せなければないのと同じ。「いつ使うか」、「誰が使うか」、資料を使う視点で考えてみましょう。

ファイリングのメリツ卜

「書類を捨てると困りそう」、「いちいちラベリングする瑕がない」。ファイリングを導入しようとすると社員は面倒がることも多く、既得権化したキャビネットの本数を守ろうとすることも予想されます。そのため、導人に際しては社員自身がメリットを納得できるようにすることが大切です。
 
●情報共有による業務の効率化
資料を共有することで担当者不在時の対応がスムーズになります。過去の資料を参照することで資料作成の作業重複が減り、仕事のスピードや質を向上させます。
●情報紛失・漏洩のリスク低減、信頼性の向上
組織として体系的に書類を管理することで、紛失や漏洩のリスクを軽減します。また、過去案件の問い合わせにスムーズに対応でき、会社としての信頼性の向上に寄与します。
●コスト削減
探す時間のコストだけでなく、書類保管のスペースコストが削減可能です。平均的なキャビネット(W900×D450×H2100)1台で5.6Fm(ファイルメーター)が収納できますが、賃料20,000円/坪としても、この1台で年間約30,000円のコストが掛かっています。
●ストレス軽減
片づいていない雑多なオフィス空間や、探し物に時間を取られること自体が社員のストレスを高めるおそれがあります。ファイリングによって整った空間を雑持することで、それらを取り除く効果が期待できます。
 
 
 

ファイリングのルール

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書類削減というと部門や個人に対して収納スペースの割り振りを行って、運用ルールは委ねていないでしようか? ファイリングとは書類置場の確保ではなく、書類の扱い方そのもの。そのためには以下の基準が定められている必要があります。
 
●書類の機密性・重要性のランク付け
 ……機密情報? 個人情報? 公開情報?
●作成された文書の保管・保存媒体
 ……紙? 電子データ? マイクロフィルム?
●文書の保管期間・保存期間、廃棄方法
 ……法定保存期限はないか? シュレッダー?
●文書の分類方法やタイトルの付け方
 ……プロジェクト単位? 文書の内容単位?
●文書を共有する範囲
 ……会ネ士単位? 部門単位? グループ単位?
 
 
 

ファイリングを続けるために

ファイリングは導人することよりも継続することが難しいもの。無理なく継続するためには、続けられる仕組みづくりと、書類保管に対する意識を変えることが必要です。
 
●すぐに要不要の判断をする
例)ドラフト資料、電子データのプリント、DM、新聞・雑誌などは使ったら廃棄、など。
●書類発生時から共有保管を意識する
例)会議資料は個別に保管せずに済むように原本保管している場所を伝えておく、など。
●定期的にファイリングを見直す
例)時系列に管理している書類は、新年度に書類の廃棄・移動を行う、など。
●厳密すぎない
例)進行中のプロジェクトの直近資料は個人別の保管を認める、など。
●保管の負荷を少なくする
例)ボックスファイリングを採用する、専任のファイリングクラークを配置する、など。
 
 
キャビネットを開けるとき、冷蔵庫をイメージしてみてください。賞味期限の切れた牛乳、―目で中身がわからない容器……スムーズに料理できそうにないですよね。書類も同じで鮮度が重要ですし、古くなっても使う内容は、誰が見ても使いやすいように加工して保存しておく必要があります。ナレムコの法則によると、仕事で使う書類の99%が1年以内に
作成・収集したものといわれています。必要なものをストレスなく取り出せるファイリング、あなたも挑戦してみませんか?
 
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オフィスのチカラ

この記事は、コクヨ株式会社が発行する冊子『オフィスのチカラ』に掲載されたものです。冊子『オフィスのチカラ』をご希望の方は、こちらのフォームの「カタログのご請求フォーム」の「家具単品カタログ」の枠に『オフィスのチカラ』最新号希望とご記入の上、ご送信ください。

オフィスのチカラ vol.11より転載