組織の力
2020.03.27
ストレスフリーな会議の作り方
あなたは「会議」にどんなイメージをお持ちですか? 式会社NTTデータ経営研究所の調査(2012)によると、「無駄な会議等が多い」(45.0%)、「会議等の時間が長い」(44.1%)、「会議等の頻度が多い」(36.7%)と多くの人が課題を感じているようです。また、会議は全体業務の約15%を占めており、企業規模が大きくなるほど占める割合が高くなる傾向が見られました。「会議自体がムダ」という意見もよく耳にしますが、会議は複数のアイディアや情報を交わらせて次のアクションにつなげるための大切な場。会議の生産性が低いことが問題なのです。有意義でストレスフリーな会議のために、会議進行のスキルに注目してみませんか。
会議の目的は?
会議には「OO定例会議」、「部門長会議」などの名前がついたものが多いのですが、その目的を意識していますか? 実情は目的があいまいなまま会議を行っているということが多いものです。
会議は目的で分類すると、新しい企画や問題解決を行う「アイディアを生み出す会議(創造会議)」と、報告や連絡を行う「情報を共有する会議(定型会議)」の大きく2つに分けられます。「意思決定会議」、「交渉・調整会議」も関係者が判断するための情報を共有する会議といえます。
この2つにはそれぞれに適した進行の方法が必要ですが、目的を見失ってあいまいなまま混在させてしまいがちです。例えば、報告の途中で出た課題をそのまま討議してしまうことはありませんか? 長引きそうだからと積極的に意見を出さなかったり、時問切れで共有すべき報告ができなかったりとどちらも中途半端になってしまいます。この場合はそのまま報告会議を続けるのか、問題解決会議に切り替えて報告は次回にするのかを決めて進行する必要があります。
会議の基本的な流れは?
なんとなく本題から話し始めて、時間切れで解散……こんな会議ありませんか? 効果的な会議の基本構造は実は決まっています。「①準備→②議題の確認→③発散と収束→④まとめ」の流れを捉えなおしましょう。
①準備
会議は開催前から始まっています。目的、議題、ゴール、出席者、関連資料など会議の流れを自分の中で組み立てて、参加者に事前共有しましょう。
②議題の確認
会議の開始時には、会議の目的や議題、時間配分や会議の進行方法など「会議の地図」を説明し、参加者全員が理解できている状態にしましょう。
③発散と収束
意見やアイディアをたくさん出してもらい、その後絞り込み、これを議題の数だけ繰り返し行います。発斂と収束が混ざらないよう注意が必要です。
④まとめ
会議の終わりには議事録と照らしあわせながら、決定事項や役割分担、未決事項に対する宿題、次回の議題などを確認。会議後に議事録を共有します。
少人数の会議の際には「みんなわかっているだろう」と準備や議題の確認を省略しがちですが、きちんと言葉にして共有しておくことが大切です。
進行役の役割は?
「意見が出ない」、「時問通りに終わらない」、「内職する人がいる」……そうならずに会議を成功に導くためには進行役が会議の「発言」、「時間」、「雰囲気」をコントロールすることが大切です。手法の一例をご紹介します。
①会議のアイディア・マネジメント〈参加者から発言を引き出す〉
●アイディアの発言者に敬意を払う。
●ブレストの4つのルール(批判厳禁、自由奔放、質より量、結合改善)を使いこなす。
●考える時間をとり、アイディアを書き出させる。
●板書で意見の見える化を行い、アイディアを誘発させる。
②会議のタイム・マネジメント〈時間内に結論を出す〉
●全員揃っていなくても定刻にスタートする。
●4つの決める方法(参加者の多数決、決裁者の判断、議論で全員合意、評価項目で評価)で結論を出す。
●議論の途中で、決め方を合意する。
●定型会議の際には、発表者に持ち時間を意識させる。
③会議のチームワーク・マネジメント〈会議の雰囲気をつくる〉
●進行役は「笑顔」、「聴く」、「褒める」。いっぱいうなずいて発言者の味方になる。
●とりあえずー人―言は発言できるよう、簡単な質問を全員に投げかける。
●意見の対立は歓迎し、言いにくいことを言える雰囲気を作る。
●板書で冷静な議論に持っていく。
会議で笑顔なんて意外に思われるかもしれませんが、言ってしまえば会議は会話の集まりです。話しにくい会議で「本当はこう思っていたのに」という声が後からでるようでは開催した意味がありませんよね。
オフィスのチカラ
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