組織の力
2020.09.04
企業防災・オフィス防災とは何か?
誕生とその変遷を災害から学ぶ
企業防災・オフィス防災
誕生とその変遷を災害から学ぶ
企業防災、オフィス防災誕生の最も大きなきっかけは1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)であるとみています。
当時、避難所運営や救援物資の需給経験を踏まえ、自治体の防災備蓄やマニュアルなどが大きく見直されるなか、企業においてもオフィスでの防災対策に着手、推進する動きが活発化し、以降は主に総務部門の業務として定着しました。
1995年は今日の緊急地震速報を支えるインフラ整備が始まるなど、我が国の防災が大きく動き始めた年でもありました。
2001年頃からはアメリカの同時多発テロ事件をきっかけとして、BCP(事業継続計画)を軸とする事業継続という視点も加わりました。この頃から大企業を中心にリスクマネジメント部門を創設する動きも多くみられました。
続く2004年の新潟中越地震では現地半導体メーカーの被災により、その半導体を使用していた企業など、被災地圏外にも大きな経済的ダメージを残したというニュースが話題を集めました。
その結果、企業単体ではなくサプライチェーン全体での取り組みが必要とされ、取引先相手にも防災対策を要求するなど動きも活発化しました。さらに所管官庁や業界団体によるガイドライン制定や、金融機関による優遇制度の整備などにもつながりました。
そして、2011年東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では平日の就業時間中に発災したことで、企業やワーカーの多くが初めて会社の防災備蓄を使い、帰宅困難者となり、会社に寝泊まりあるいは長距離を歩いて帰宅するという経験をしました。
その中で、防災担当者不在により対応ができない、備蓄の使い方がわからない、経験して初めて不備を痛感したなど、ごく少数の担当者傾注で使わないことを前提とした企業防災、オフィス防災ならでの課題が露見することとなりました。
酒井 希望(Sakai Nozomu)
コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/防災ソリュマーケG東京。2007年より防災事業に参画し、以来企業防災プランナーとして約3,000名の防災担当者との対話を重ねその解決策を見いたしてきた。ビル、商業施設のコンサルタントとしても活躍。
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