ライフのコツ

2021.03.12

世界で通用する教養としての和食の知識

日本人が知っておきたい和食の知識・効能とは?

ビジネスを円滑に進めるうえで重要な役割を果たす「ビジネス教養」。海外でのビジネスなら「和食」の話題も日本人の強みになる。外国人の興味や関心をグッと惹きつける、日本人が誇る「和食」を教養として語るコツを紹介する。

教養としての和食の知識③
「うま味」の消化促進効果で食べすぎ防止

和食のもう一つの特徴として、「うま味」が上手に使われていることが挙げられます。「出汁をとる」というのは和食の基本ですが、この出汁にグルタミン酸(主に昆布など)、イノシン酸(かつお節など)、グアニル酸(干し椎茸など)といったうま味成分が豊富に含まれています。

うま味を使うと、少ない調味料でもおいしさが引き出されるので、素材そのものの味や香りを生かすことができます。また、うま味があると、胃液の分泌量が増え、消化が促進されるため「食べた感」が得られるので、少ない量でも満足でき、食べすぎ防止にもなります。

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近年、海外でも「うま味」の効能が知られるようになり、「umami」がそのまま英語として通用するほど注目が集まっています。ですから、日本人がどのようにうま味を生かしているかというのも話題として使えます。ただし「umami」がそのまま通じる人は海外の地域によってはまだ少ないので、言葉としては、「savory taste」を使うとよいでしょう。

たとえば、日本では離乳食として、出汁で炊いたおかゆを赤ちゃんに食べさせます。でも、アメリカでは市販のベビーフードを使うのが当たり前で、ハンバーグやフライドポテトを離乳食として食べさせる親もいます。

日本人は食の入口となる離乳食から意識してうま味を取り入れることで、塩や砂糖に関しては薄味で、素材の味を生かした料理を自然と「おいしい」と感じるようになる。脂肪分に頼らずにおいしく仕上げることができ、それが健康的な食生活につながっているというのも、海外の方々にとっては新鮮に感じられるのではないでしょうか。




教養としての和食の知識④
相手の食文化へのリスペクトも大切

食を話題にするときは、和食のよさばかりを語るのではなく、相手の国の料理をほめたり、和食との共通点を話題にするのも話を盛り上げる秘訣です。

たとえば、和食と同じように健康効果が高いことで知られる地中海料理。その特徴として、トマトや魚がたくさん使われていることが挙げられますが、トマトや魚にはうま味成分が豊富に含まれています。また、イタリア料理でたくさん使われるチーズも、熟成期間中にたんぱく質が分解され、うま味成分であるグルタミン酸が多くなります。

うま味というのは出汁以外にもいろいろな食材に含まれているので、そこに注目することで話題を広げてみてもおもしろいでしょう。

中近東からアジアにかけては、スパイス文化が根づいています。スパイスにもさまざまな健康効果があります。たとえばウコンには抗酸化作用や肝機能改善、シナモンには血流改善などの効果があり、サプリメントの成分にも使われていたりします。こうした国々の方と話すときには、スパイスの使い方や効能を尋ねてみると、相手の文化へのリスペクトも示せますし、意外な話が聞けたりするかもしれません。

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このように、日本人にとって身近な「和食」についての知識は日本人ならではのビジネス教養となり、ビジネスの場での外国人とのトークの幅を広げます。普段からもっと興味を持って「和食」への見識を深めてみてはいかがでしょうか。

藤島 義之(Fujishima Yoshiyuki)

上智大学卒業後、英国オックスフォード大学にて博士号取得。1995年に味の素(株)に入社し、研究・企画・開発業務に携わる。アメリカでの駐在勤務を得て、2015年から(財)バイオインダストリー協会、2018年から新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術戦略研究センターに出向。OECD、IEA、国連SDGs関連の情報収集等を担当し、バイオエコノミーに関するサミットやOECD会合にも参加。現在、バイオテクノロジーの産業利用と国際連携を専門としたコンサル業もおこなっている。

グローバルママ研究所

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。https://gl-stage.com/service/mama/

文/グローバルママ研究所