リサーチ
オフィス出社者からみたオフィスの価値
テレワークの活用と業務改善でオフィスの役割を見直す
新型コロナウイルス感染拡大に伴いテレワークが普及した一方で、感染リスクを感じながらもオフィスに出社して働くワーカーも多い。そんなワーカーにとってオフィスの価値とは?コクヨ株式会社で行ったWEBアンケート調査「オフィス出社者からみたオフィスの価値」から、オフィスワーカーならではの苦労や課題意識をもとに解説する。
オンライン化で 業務フローの改善を
オフィス出社者に向けて、働く場や業務において改善(実現)してほしいことを聞いたところ、「経理処理のオンライン化」や「稟議・決裁のオンライン化」、「ペーパーレス業務の実現」など業務フローの改善に関する項目が上位に並びました。 これらはいずれも、働き方改革の具体策として以前より推奨されていた内容ばかりですが、感染拡大をきっかけにテレワークが急速に進むなかで、その必要性がより現実味を増しています。新型コロナウイルスの長期化とともに、本格的な改善が急務となっているのです。 また、テレワーカーと協働しているオフィス出社者に絞り込んで改善要望項目を見てみると、興味深い結果を得ることができました。全体の結果と比べて、すべての項目で「改善(実現)してほしい」と考える人が多かったのです。 先に挙げた「経理処理」「稟議・決裁」はオフィスでしかできない業務の筆頭であり、「ペーパーレス」は柔軟な働き方の実現に不可欠です。そして、これらの業務がオンライン化できていないことで、オフィス出社者の業務負担が増えている可能性が、この結果から見えてきました。
オフィス出社者にとって オフィスの価値とは
今回の調査では、オフィスに出社して働きたいワーカーが多いことから、オフィスに対して価値を感じていることがわかりました。ただし、これまでと同様に毎日出社するのではなく、テレワークも活用した柔軟な働き方を望んでいます。 働く場の選択肢としてオフィスを必要とし、オフィスだからできる仕事を望んでいるのではないでしょうか。たとえば、対面だからできるコミュニケーションや、テレワーカーと円滑なコミュニケーション取りながら協働できる場としてのオフィスなどです。 また、働き方がテレワークを活用した柔軟なものになっていけば、オフィスの出社率も下がり、これまでと同じだけの執務スペースが必要なくなります。働き方の変化に合わせて、オフィスのレイアウトや機能も柔軟に変えていきながら、そこでしか生まれない価値を生み出せるオフィスへと、その役割を見直す時期にきているのではないでしょうか。
実施日:2020.11.24-25実施
調査対象:社員数500人以上の企業に勤めているワーカーのうち、全社・所属部署でテレワークを採用しているが自身の利用は週1日以下のワーカー
ツール:WEBアンケート
【図版出典】Small Survey「オフィス出社者からみたオフィスの価値」
河内 律子(Kawachi Ritsuko)
コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルコンサルタント
ワーキングマザーの働き方や学びを中心としたダイバーシティマネジメントについての研究をメインに、「イノベーション」「組織力」「クリエイティブ」をキーワードにしたビジネスマンの学びをリサーチ。その知見を活かし、「ダイバーシティ」をテーマとするビジネス研修を手掛ける。