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ワークライフ・インテグレーションとは?
知っておきたいトレンドワード22:ワークライフ・インテグレーション
個人においては仕事と生活の両方の充実を、企業においては生産性向上につながる働き方を実現できる考え方として、「ワークライフ・インテグレーション」という考え方が注目されている。どのような考え方だろうか?
ワークライフ・インテグレーションとは
ワークライフ・インテグレーションとは、仕事(ワーク)と個人の生活(ライフ)の双方を人生の構成要素として捉え、個々人にとって良い形で統合(インテグレーション)して両方の充実を求める考え方のことです。 ワークライフ・インテグレーションを実践することにより、個人は生活の質を高めることができます。生活の質が上がると心身に余裕が生まれ、仕事への意欲や仕事における生産性も高まります。その結果、企業におけるイノベーションや成長も期待できるということで、今、注目されている考え方です。
ワークライフバランスとの違い
似た考え方に「ワークライフバランス」があります。ワークライフバランスは「仕事と生活の調和」と訳され、2007年に内閣府が「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」を定めています。そこでは、仕事と生活の調和が実現された社会が次のように定義されています。 「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」 ワークライフバランスとワークライフ・インテグレーションは、どちらも「仕事と生活の両方の充実」を目指すものであるという点は共通しています。 他方で、社会、また企業においては、ワークライフバランスの「バランス」という言葉から、「仕事の時間をセーブして生活を充実させる」「仕事を重視するために生活を犠牲にする」など、仕事と生活は相反するものだと捉えられがちでした。そこで、ワークライフバランスが目指す「仕事と生活の両方の充実」を実現するための新たな考え方として提唱されたのがワークライフ・インテグレーションです。2000年代後半に、慶應義塾大学の高橋俊介教授(現・慶應義塾大学SFC研究所上席所員)や経済同友会が提言し、国内で認知されるようになりました。
ワークライフ・インテグレーションが 注目される背景
ワークライフ・インテグレーションの考え方が注目されている背景の1つには、少子高齢化に伴う労働人口の減少が挙げられます。仕事以外の事象に大きな影響を受けることなく所定労働時間ないしそれ以上の時間働ける人だけでなく、育児中や介護中の人、シニア世代、外国人なども活躍できる環境にしなければ、企業の成長も、経済の成長も困難です。だからこそ、企業は多様な人々のワークライフ・インテグレーションに考慮し、さまざまな働き方の選択肢を用意する必要性に迫られています。 また、ワークライフ・インテグレーションの実現は生産性向上につながる点も、注目されている理由の一つです。
ワークライフ・インテグレーションにより 実現できること
ワークライフ・インテグレーションの考え方を取り入れることで、企業と従業員は、次に挙げるようなメリットを実現できます。
生産性の向上
従業員1人ひとりが自分に合った働き方をすること、また、ライフが充実して心身が健康な状態で仕事に臨むことで、仕事に対する集中力やモチベーションが高まり、生産性の向上が期待できます。
個々人に合った働き方の実現
ワークライフ・インテグレーションを重視し、そのための制度や環境が整備された企業においては、育児や介護、療養、障がいなど、個々人の状況に適した働き方を選択することができ、従来なら離職ないし休業せざるを得なかった人々も働くことができます。
個人の能力の向上
個々人の状況に適した、無理のない働き方や、生産性向上により、個人が自己研鑽に時間を割くこともできるようになり、個々人のスキルアップが期待できます。
幸福度の向上
生活が充実すれば、個人の幸福度が上がります。それは働く意欲にも寄与します。
ワークライフ・インテグレーションの 実現に必要なこと
ワークライフ・インテグレーションの実現には、個人の取り組みだけでなく、企業の取り組みが不可欠です。具体的には、次に挙げる取り組みなどが求められるでしょう。
柔軟な働き方の提供
ワークライフ・インテグレーションを実現するために、企業は、テレワーク、裁量労働制、フレックスタイム制など、従業員が働く時間や場所を柔軟に決められる制度を整備する必要があります。また、育児や介護にあたる社員を支援する制度や、副業・複業制度、リカレントやリスキリングを支援する制度、一度離職した社員の再就職を可能とする制度などの整備も、個人のライフステージに応じた柔軟な働き方を支援し、労働力として雇用するために必要な対応と言えるでしょう。
業務管理・人事評価制度の整備
企業は、従業員の多様な働き方に対応した業務管理の方法や人事評価制度を整備する必要があります。
従業員の自律性
従業員においては、ともすると、働き方の自由度が高まったがためにだらだらと働きがちになり、長時間労働や生産性の低下につながる可能性もあります。時間管理や業務の効率化、生産性向上を自律的に行うことが求められます。