研修本番

研修担当者に必要なスキル6:事務局は現場のプロデューサー

会場入りは90分前、
準備に余裕を

今回は「研修本番」、つまり当日の注意点を考えます。研修担当者にとって、これまで準備した結果が出る大切な1日です。気分的にはゆっくり研修を後ろで見ていたいと思うかもしれませんが、事務局であるあなたの研修当日の役割は"プロデューサー"です。現場を常に俯瞰した目で見ながら、トラブル時には速やかに対応できるよう準備しておきましょう。

まずは研修開始前のポイントから見ていきます。皆さんは研修開始何分前に会場入りするでしょうか? 貸会議室によっては30分前にしか入れないところもありますが、可能であれば90分前、遅くとも60分前には着くようにしましょう。参加者は早い人では30分前に来る人もいますので、その時点でバタバタと机の配置を直しているといったことがないようにします。

机の配置、荷物の開梱、機材のセッティング、名簿・席順の準備等、それぞれの時間配分を考えておきましょう。座席表は2種類つくります。講師側と受講者側から見たそれぞれの机配置に名前が入っているものです。特に講師に渡す座席表には氏名のフリガナをふるようにしてください。

席順の決め方ですが、同じ会社の中でも部門の違う人と話してもらった方がよいので、なるべく部門がばらけるようにします。男女もなるべく均等に。また、受講者の性格やキャラクターがある程度分かっているのであれば、グループ演習のときに会話をリードしてくれるような人を極力バランスよく配置するよう心掛けましょう。

研修担当者も一参加者として
研修を見届ける

開始時間になりました。事務局として「開始のあいさつ」をします。研修の目的や概要、講師紹介、諸注意を話してください。たまに研修の目的や概要を話さない人がいますが、講師としては説明してほしいものです。端的に今日集まってもらった意味を伝えましょう。

研修が始まったら、常に先を読んで資料配布や備品のサポートをしましょう。基本的には研修内容に注意を払い、問題点がないか監督するようにしてください。特に新しく実施する研修は必ず改善点が見つかるはずです。よかったところ、改善すべきところをメモしておきましょう。

研修担当者06_01.png

研修担当者の中には、研修が始まったら講師にお任せで、後ろでノートパソコンを広げて自分の仕事をしてしまう人がいますが、これはよくありません。研修担当者も一参加者として、意図した学習ポイントが伝わっているか、講師と受講者の様子をしっかり見るようにしてください。その結果講師によいフィードバックができれば、次の研修の質が上がり、講師との信頼関係も構築できます。

またよくあるのが、オブザーバーが多すぎる、あるいは受講生の上司や年配の事務局スタッフが、やたらと研修会場を歩き回ること。これは受講者にとってプレッシャーになりますし、講師としてもやりにくいものです。研修担当者として、事務局スタッフ含めオブザーバーは必要最少人数に抑える。また冷やかし半分で研修会場を見て回る人がいたら、例えば休憩時間などに「受講者がプレッシャーを感じていたみたいですよ」などと言って、そうした行動をやめるよう促しましょう。

研修が終わったら、クロージングのあいさつをします。よくあるのが、「今日、皆さんはいろいろなことを学んだと思います。しかしながら明日から現場で実践しなければ意味がありません」という言い方です。悪くはないのですが、これだけだと参加者は当たり前だよねと思います。例えば「事務局をしながら話を聞いていましたが、私は明日から○○を実践しようと思いました。皆さんも何か1つ2つ、すぐにできることは何かなと考えてみてください」と自分の例示を入れてみるとよいでしょう。



下地 寛也(Shimoji Kanya)
コクヨ㈱入社後、行動と環境(創造性、コミュニケーション、場のあり方等)に関する研究・分析を担当。2003年より、クライアントの企業変革のコンサルティングや研修コンテンツ企画を担当する。著書『コクヨの3ステップ会議術』(中経出版)、『コクヨの1分間プレゼンテーション』(中経出版)、『コクヨの5ステップ ロジカルシンキング』(中経出版)、『コクヨの「3秒で選び、2秒で決める」思考術』(中経出版)、『コクヨのコミュニケーション仕事術』(総合法令出版)


2019.01.24
作成/コクヨ

この記事の関連コラム

新着コラム

研修をご検討の方は是非ご相談ください!