組織の力
新興国への留職が、日本企業の在り方を変える日〈後編〉
留職プログラムで育まれるリーダーシップとは?
社会課題に取り組む新興国のNPOや企業で、本業を活かして社会課題解決に挑む「留職」プログラムを提供するクロスフィールズ。ただスキルを身につけるだけでなく、現地での実践が、帰国後の仕事を変えると、リピート希望が絶えない企業研修プログラムとは? 前編では、新興国に飛び出すことで、日本企業の多くが失った「志」や「想い」を持って働くマインドセットができるという話を伺った。後編では、そこで養われるもの、そして人間としての成長について、代表の小沼大地さんに伺った。
真の自立・自律が必要となる
社会課題解決の現場
働く在り方、自分の在り方を取り戻す時間......というと、もしかしたら、自分探しの旅といった印象を抱くかもしれない。でも、この「留職」は、そんなに生半可な気持ちでは通用しない。なにせ、派遣される先は、新興国の社会課題を解決している現地のNPOや企業というリアルな現場だ。彼らが研究所と呼ぶ場所に案内されれば、そこにはビーカーや計測器もない。データを処理するパソコンもなく、調理器具しか揃っていないことは当たり前のような環境。そういった、ある意味過酷な現場で、課題を解決して帰ってくるのだから、かなりの覚悟を求められる。そのため、派遣前には面接などを重ね、課題へのコミットメントを明確にしているとも。
小沼 大地(Konuma Daichi)
大学卒業後に青年海外協力隊としてシリアに赴任し、現地NGOにてマイクロファイナンスの事業に従事。その後、外資系コンサルティングファームを経て2011年にクロスフィールズを創業。社会課題の現場をビジネスの世界とつなぐことで、行き過ぎた資本主義の世界に対して一石を投じるとともに、ソーシャルセクターの発展に貢献したい。大のスポーツ好きで、広島カープファン。大学時代はラクロスに捧げ、U21日本代表に選出されたことも。2児の父。