組織の力
2020.06.30
未来のオフィスが担うべき5つの役割
ワークスタイル研究所では、国内外のさまざまな先進事例の収集・分析を通じ、オフィスというものの意味をあらためて問い直してきています。本レポートでは、その研究活動から得られた、今後のオフィスに求められる役割としての「5つの仮説」を市場の反応と共にご紹介します。
スマートフォンの普及率も8割に近づき、Wifiがつながるスポットもどんどん増えて行く昨今、デバイスや通信環境の進展で「いつでもどこでも働ける」と言っても過言ではない時代になってきています。「カフェで働く」というようなシーンも、もはや全く普通に見かけるようになってきていますよね。
一方、従来の働く場の代表である「オフィス」は、企業にとっては多大なる費用(賃料や維持費など)を発生しつづける「設備」でもあります。いつでもどこでも働けるこの時代がさらに進展していくと、企業にとってこの「オフィス」に投資し続ける意味は果たして残るのでしょうか? もしかして、自社のオフィスというものは要らなくなる時代が来るのでしょうか?
オフィスの未来に影響する3つのトレンド
まずは、今後のオフィスに求められる役割を考える上で前提となる、いくつかのトレンドをあらためて押さえてみましょう。ここでは大きく、下記3つのトレンドについて考えてみたいと思います。
1.「ワーカー」の意向はどう変わっていくのか
2.「テクノロジー/デバイス」はどう変わっていくのか
3. オフィス以外の働く場はどう変わっていくのか
これらのトレンドについて、それぞれ既にメディアなどで語られている内容をまとめてみます。
トレンド1:「ワーカー」の意向はどう変わっていくのか
いくつかの切り口で、特にどこで働きたいか、という観点も念頭に置きながら見てみます。
Y世代/ミレニアル世代
2025年には労働力の過半数を占めるといわれているY世代/ミレニアル世代ですが、それ以前の世代に比べて、「やりたいことをうまくこなすために、仕事の仕方や場所を自由に選びたい」という意向を強く持っているようです
出典:コクヨ独自調査
女性ワーカー
女性の理想のライフコースとして過去より増加してきているのが「仕事と家庭の両立」です。両立の上での課題は多岐にわたりますが、家事や育児も見据えたうえで、働く時間や場所を最適化したいという意向も高いようです。
出典:社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」
副業ワーカー
経産省が「雇用関係によらない働き方」と題して研究会を立ち上げたことで、注目が拡大した複業という働き方。その日の予定や作業内容に応じて働く場を使い分けたいが、コワーキングは費用がかさみ、かといってカフェは席がいつもあるとは限らない、などの悩みもあるようです。
出典:リージャスグループ「働き方に関するグローバル調査」
このような、いくつかの切り口でのワーカーの変化は以下のようにまとめられそうです。
トレンド2:「テクノロジー / デバイス」はどう変わっていくのか
新たなテクノロジーやデバイスの登場によって、それまでのルールが大きく書き換わる、ということがあります。働くシーンで言うと、例えばパソコン作業を例にとって考えてみます。
上記のように、デバイスが変化することで、もともと自席で行うものだったパソコン作業が、ある程度は社外や移動中含め場所を問わずできるようになってきていますよね。「どこで作業できるか」というルールが、デバイスの進化により大きく書き換わってきたのがわかります。
これからの働くルールを変え得る最前線のテクノロジーやデバイスには、どんなものが出てきているでしょうか。いくつか例を挙げてみてみたいと思います。
ここで例示したようなテクノロジー / デバイスの変化は、以下のようにまとめられそうです。
ワークスタイル研究所
2017年創設。ワークプレイスを基軸とした新しい働き方に関して、調査・実践研究・発信を通した研究活動を担っている。ワークスタイルコンサルティングや先端的な働き方や働く環境を紹介するオウンドメディア『WORKSIGHT』の発刊を行う。