組織の力

2020.10.22

ウィズコロナのオフィスに求められる機能〈後編〉

これからのオフィスに必要な機能とは?

新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言解除後も在宅勤務を行う人は一定数おり、在宅勤務は働き方の一潮流となっている。このような時代に、オフィスはどのような機能を備えておくことが必要なのか。ウィズコロナの時代のオフィスについて、コクヨ株式会社ワークスタイルイノベーション部でコンサルタントを務める太田裕也氏にお聞きする。

感染症対策には
運用ルールの徹底も重要

在宅勤務のワーカーが増えている中で、多くの企業ではオフィス面積の削減を検討している。つまり、ますます多くの企業が固定席を廃し、デスクやチェアなどを多くのワーカーが共有するフリーアドレス・ABWのスタイルを採用すると考えられる。

また、プロジェクトルームなどオフィスならではの設備も、多数のワーカーが共有することになる。どれだけ感染症対策に努めても、共有や密の回避には限界もあるだろう。

「感染症対策については人によって意見が分かれるところですが、感染を避けるためだけに固定席を残しておくのは、コスト面からいって非効率だと私は考えます。ただ、多くの人が集まるオフィスにおいては、感染症対策だけではなく、感染症を防ぐためのオフィス運用ルールが必要になります」

例えば、日頃の体調管理はもちろんのこと、時差出勤を推奨したり、体調不良時や熱があるときは外出しない、といった出社・外出ルール。出社したら自動検温を行い、仕事前にうがい・手洗いを徹底。共有デスクや共有備品は使用後に必ず消毒する、といった運用ルールだ。社員全員でルールを共有・実践することで、安全なオフィス空間をつくることができる。



これからのオフィスは
本当に必要な機能を備えた特別な場に

コクヨが大企業259社に向けて緊急事態宣言直後に実施したアンケート調査では、95%の企業が「コロナはオフィスを見直す機会である」と回答している。そして実際に、業務に必要な床面積やオフィスに備えるべき機能の検討を具体的に始めている企業も多い。

「今後は、なんとなく執務スペースや会議室、ミーティングスペースを配置したオフィスは減り、自社に必要な機能・設備を凝縮したオフィスが主流になっていくでしょう。現在はオフィス縮小の動きが目立ちますが、自社がめざす働き方に最も合う空間という意味では、必ずしも削減という方向性ばかりとはいえません」

コロナによって多くのワーカーの意識や働き方が変わった今、オフィスのあり方が変化していくのも自然な流れだ。自社オフィスに必要な要素をいかに研ぎ澄まして考え抜くかが、生産性・創造性向上の起点と言えるだろう。

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【図版出典】コクヨ『WORK TRANSFORMATIONコンセプトブックVol.02』


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太田 裕也 (Ohta Hironari)

コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルコンサルタント/プロジェクトディレクター
建築学科卒業後、2005年にコクヨへ入社。「働く場」としてのオフィス、「学ぶ場」としての教育施設、「暮らす場」としてのホテル等、多彩な場の空間デザインを手掛け、「日経ニューオフィス賞」等のアワードを数多く受賞。 2011年以降、「意識・行動・空間」を多面的にデザインするコンサルタントとして、「2ndプレイス(オフィス)」のみならず、「1stプレイス(自宅)」や「3rdプレイス(シェアオフィス等)」もスコープに含めた戦略的ワークスタイルの実現を支援している。

文/横堀夏代