組織の力
2020.11.17
WITHコロナ時代のモチベーションアップ術
オンラインコミュニケーションの工夫で働く意欲を高める
新型コロナウィルス感染拡大以降、在宅ワーク中心の働き方による孤立やコミュニケーション不足から、マイナスの影響を受けたワーカーも少なくないだろう。WTTHコロナ時代に生産性高く仕事をするには、ワーカー一人ひとりのモチベーションがカギになる。メンバーのやる気を高めるためるコミュニケーションの工夫や、自分自身でモチベーションをアップさせる手法について、コクヨ株式会社でワークスタイルコンサルタントを務める小笠原純女氏にお聞きする。
モチベーションを意識的に高める
4つのコツ
では具体的に何をすればいいのだろうか。メンバーのモチベーションを高めるための具体的な手法と、自らモチベーションを上げていくための具体的手法の2つの切り口で紹介する。
①コミュニケーションはリーダーから発信する
在宅ワークが主流になると、コミュニケーションの大半がオンラインで行われるようになり、オフィスで日常的に行われていた、ちょっとした打ち合わせや雑談は難しくなる。多くのワーカーがコミュニケーションに課題を感じている一因はそこにある。そこで、「リーダーは、チームのコミュニケーションを先導するよう心がけてください。業務に関する会議やミーティング以外に、オフィスでの雑談に代わるような、ちょっとした会話の機会をリーダー自らがオンラインツールを活用してつくり出すようにしましょう」
「特に若手ワーカーに対しては、業務の進捗に気を配り、気になるときは相手からの報連相を待つのではなく、チャットや電話、必要に応じてオンラインミーティングをセッティングして直接話す機会をリーダーからつくってください」
「なかにはICTスキルに不安がある方もいると思いますが、苦手だから、分からないから使わないのではなく、リーダーから率先して活用してみることが大切です。どうしても難しい場合は、若手にアイデアを聞くなどして、ベストな活用方法を一緒に考えるのもいいでしょう」
②リーダーはメンバーの承認欲求と所属欲求を満たす工夫をする
チームのコミュニケーションを司るにあたっては、「メンバーの心理的安全性を確保する」取り組みも求められる。「心理的安全性を確保するには『あなたの居場所はここだよ』とメンバーに認識させることが大切です。在宅ワークが続くと会社への帰属意識は低下しやすいので、リーダーはメンバーに仕事を任せるだけでなく、きめ細かく進捗を確認したり、困りごとを聞いたりして、その人がチームにとって必要な存在であることを示しましょう」
「またメンバーの承認欲求を満たすためにも、進捗を把握し、状況に応じたサポートをしながら、『頑張っているね』『〇〇は任せるよ』といった承認のサインを送ることも忘れないでください」
③目標を立てて宣言する
小笠原氏は、ワーカーが自身のモチベーションを高めるための方法として「自分の目標をチームメンバーに宣言すること」を挙げる。「これは、達成欲を自分で満たしてモチベーションを上げる方法です。資格取得など仕事に関わる目標でもいいですし、ウォーキングやダイエットなど仕事に直接関係ないことでもかまいません。目標というゴールイメージをつくることで生活に弾みがつき、仕事へのモチベーションも上がりやすくなります。SNSなど使い慣れたツールで発信するとよいでしょう。達成できたときのインセンティブ(ご褒美)も決めておくと、努力が続きやすくなります」
1人で目標設定するだけでなく周りにも宣言するのは、ほかのチームメンバーに「心理的サポーター」になってもらうためだ。
「目標を見失っているときでも、『どう、頑張ってる?』と周りに聞かれると、心を立て直すことができます。それに、実現できたときには一緒に喜んでもらえるので、達成欲がより満たされますよね。メンバーもリーダーも、どんどん目標宣言してみましょう」
④自分の中にコーチをもつ
テレワークでは常にチームメンバーとオンラインコミュニケーションを持てるわけではなく、1人で仕事に取り組む時間も多い。ソロワーク時のモチベーションアップとして小笠原氏が推奨するのが「セルフコーチング」だ。「オフィスで仕事をしていれば、リーダーがコーチ役となってモチベーションアップを助けてくれるでしょう。しかしテレワークでは、ある程度は自力でモチベーションを上げることも求められます。そこで、くじけそうなときにコーチが言ってくれそうな言葉を用意しておいて、仕事で行き詰まったら自分にその言葉をかけるのです」
〈モチベーションを上げるための自分への言葉〉
□ どうしたらうまくいくか?
□ 何が出来るか?
□ 何が使えるか?
□ どうしたいか?
□ どうなればいいか?
□ どこから手をつけるか?
□ いつやるか?
□ どんなふうにやるか?
□ 他には?
チームのリーダーを務める小笠原氏自身も、コロナ禍によってテレワーク主体の働き方になる前からセルフコーチングを実践していたという。
「リーダーになると自分で判断することも増えるので、セルフコーチングはとても有効だと感じています。私が自分によく語りかけるのは、以前に上司から言われた『会社や売り上げのことはいったん置いておいて、自分はどうしたい?』という言葉です」
オンラインコミュニケーションが
チームの絆を深める
在宅ワーク中心のワークスタイルは、一見「工夫して乗り越えなければならないこと」が山積みに感じられる。しかし小笠原氏によれば、「オンラインコミュニケーションだからこそのメリットもある」という。
「例えば私がリーダーを務めるチームでは、コロナ禍以前よりひんぱんにグループミーティングをオンラインで開催するようになりました。在宅ワークだと移動時間がかからないいので、その時間でチームのコミュニケーションを厚くできるのです。オンライン会議のほかにチャットでの雑談もよく行っていて、チームの絆は深まった気がしています」
グループだけでなく、チームメンバーと1対1で話す回数も増えたそうだ。
「グループチャットをしているときに、ふと特定のメンバーのことが気になることがあります。そのときは、その人に声をかけて30分から1時間程度、ビデオをオンにしてオンラインミーティングをします。
オフィスと違って周りを気にする必要がないのでメンバーは話しやすそうですし、私自身もその人の話を集中して聞くことができます。テレワークの長所を活かせばコミュニケーションを密にし、ひいてはモチベーションを上げていくことができるのではないでしょうか」
コロナと共生するワークスタイルが求められる中で、今後も在宅で働き続ける人は多いだろう。仲間と離れて仕事をしていると意欲低下が起こりやすいが、チームや個人でコミュニケーションを工夫することで働くモチベーションを上げることは十分に可能だ。「在宅ワークだからしかたない」とあきらめず、視点を変えて「今だからできること」を模索してみよう。
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小笠原 純女(Ogasawara Junko)
コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルコンサルタント/一級建築士
建築学科卒業後、1998年にコクヨに入社。入社後10年ほどはモノづくり(文具開発、家具開発、働き方の研究、オフィス構築)に携わり、その後、ヒトづくり(人材育成、意識改革、働き方改革など)を中心にサービスを提供し、現在に至る。