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2022.03.09

サステナビリティとは?企業活動に不可欠な考え方

知っておきたいトレンドワード9:サステナビリティ

かつては、主に環境問題に関連する言葉として使われてきたサステナビリティ。今では、経済や社会、そして、企業活動にとっても重要な考え方となっている。その意味や企業活動における重要性とは?

サステナビリティとは?

「サステナビリティ(sustainability)」とは、「持続可能性」を意味する英語です。現代社会においては、地球環境や社会の持続可能性を意味する言葉として用いられることが一般的になっています。

この言葉と概念が広く認知されるようになったのは、1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会」が公表した報告書がきっかけです。環境と開発を互いに反するものではなく共存し得るものとしてとらえ、環境保全を考慮した節度ある開発が重要であるという考えに立ち、「将来世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」として「Sustainable Development(持続可能な開発)」が提唱されました。

その後、21世紀に入り、持続可能な発展には環境のみならず、経済格差や貧困、人権、ジェンダーなどの諸課題の解決が不可欠であるという考えに発展し、国連で2000年に「ミレニアム開発目標(MDGs)」が、2015年には「持続可能な開発目標(SDGs)」がまとめられました。




サステナビリティとSDGs、CSRの関係性

サステナビリティに関係するものとして、SDGs、CSRなどがあります。それぞれの違いや関係性は次のとおりです。

SDGsとの違い・関係性

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、持続可能な社会を実現するために2030年までの達成をめざした国際目標です。「社会」「経済」「環境」の3分野に関する17のゴール(目標)と、ゴールごとに10個程度の具体的な数値目標や達成イメージが示されています。サステナビリティを実現するための具体的な目標がSDGsと言えるでしょう。


CSRとの違い・関係性

CSR(Corporate Social Responsibility)は、「企業の社会的責任」と訳され、経済産業省のホームページでは、「企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します」と説明されています。

社会や環境に対して企業が負うべき責任については、長年、国ごとに議論され、それぞれに定義されてきた歴史があります。CSRという言葉で国際社会から強く求められるようになってきたのは、サステナビリティの概念が出てきた90年代以降です。
持続可能な社会をつくっていくために、企業は経済・環境・社会という3つの側面を高めていかなければならないという考え方(「トリプルボトムライン」と呼ばれる)が広がっていきました。そして、2010年には、企業を含む組織の社会的に責任に関する初の国際ガイドラインとして「ISO26000」が国際標準化機構から発行されました。

ISO26000が示す組織の社会的責任とは

ISO26000では、組織が尊重すべき社会的責任の7つの原則として、「説明責任」「透明性」「倫理的な行動」「ステークホルダーの利害の尊重」「法の支配の尊重」「国際行動規範の尊重」「人権の尊重」が挙げられています。その上で、組織が取り組むべき社会的責任の中核主題として「組織統治」「人権」「労働慣行」「環境」「公正な事業慣行」「消費者課題」「コミュニティへの参画及びコミュニティの発展」の7つが挙げられ、それぞれにおける対応指針が説明されています。




企業に求められる「サステナビリティ経営」

CSRの考え方やSDGsの設定によって、持続可能な社会をつくるには、企業にもその責任と行動が求められるようになっています。また、2006年には、国連が金融業界に対して「投資先を選ぶ際に投資先のESGの状況を考慮する」などの6つの責任投資原則を呼びかけ、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの観点から企業の長期的な事業機会・リスクを把握することを求めたことをきっかけに、今ではESG投資が盛んになってきています。

このような社会においては、サステナビリティを考慮した企業活動を行わなければ、企業としての信頼を失うことが想像に難くないでしょう。この、環境・社会・経済の持続可能性を考慮した企業経営は、サステナビリティ経営と呼ばれています。




企業がサステナビリティ経営に取り組むメリット

企業がサステナビリティ経営に取り組むメリットとして、次のものなどが挙げられます。

企業価値の向上

社会全体で環境保全や社会課題の解決に関心が高まっている今、一般消費者から投資家に至るまでが、社会課題に対する企業の取り組み姿勢を重視するようになっています。事業などを通じてこれらの課題に積極的に取り組むことは、その企業の社会における存在価値を高めることにつながります。


リスクの低減

持続可能性に資する取り組みを行わなかった場合のリスクとして、企業の評判が下がる、規制が強化された際に抵触する、消費者から商品を購入してもらえなくなる、気候変動などによって原料調達が困難になった際に対応できない、などが挙げられます。サステナビリティ経営に取り組むことは、これらのリスクの低減につながります。


資金調達の幅が広がる

世界の投資額に占めるESG投資の割合は年々増えており、投資家の判断基準として、ESGの重要性が高まっています。サステナビリティ経営に取り組むことで、ESG投資による資金調達が受けやすくなることが期待できます。

企業のサステナビリティを測る指標「GRIスタンダード」とは

企業が経済・環境・社会に与えるインパクトを報告し、持続可能な発展への貢献を説明するための国際基準として、「GRIスタンダード」があります。サステナブル報告書を作成する際、多くの企業がGRIスタンダードにのっとって情報を開示しています。


作成/MANA-Biz編集部