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2022.04.13

パラダイムシフトとは?今起こっている変化とその要因を知る

知っておきたいトレンドワード11:パラダイムシフト

変化を表す言葉としてよく使われる「パラダイムシフト」。そもそもどのような変化を表すのか? また、今まさに起こっているパラダイムシフトやその要因とは?

パラダイムシフトとは?

パラダイムシフトとは、それまで当たり前だと考えられていたものの見方や考え方、価値観が劇的に変化することを表した言葉です。

もともとは、アメリカの科学者・哲学者のトーマス・クーン氏が、著書『科学革命の構造』(1962年)で提示した考え方です。トーマス・クーン氏は、著書において、『一般に認められた科学的業績で、一定の期間、専門家に対して問い方や答え方のモデルを与えるもの』をパラダイム(paradigm)と定義しました。そして、この既存のパラダイムのモデルでは解決不可能な変則事例が見つかり、処理できなくなったとき、その混乱の中から新しいパラダイムが登場し、科学革命が起こると説きました(パラダイム論)。

この論が科学以外の分野にも影響を与え、産業や経済などさまざまな分野で、その時代や分野において支配的なものの見方や捉え方が、革命的かつ非連続的に変化することが「パラダイムシフト」と呼ばれるようになったのです。ビジネスシーンにおいては、画期的な製品やサービスによって市場構造が劇的に変化することを「パラダイムシフト」と呼ぶ場合もあります。




パラダイムシフトの例

歴史を振り返ると、科学分野においては地動説や進化論の登場が、経済・産業分野においては産業革命による機械化や、生産活動の中心が農業から工業へ変化したことなどが、パラダイムシフトの例と言えます。
そして、近年においては、次の3つなどがパラダイムシフトの例として挙げられるでしょう。

スマートフォンの登場によるコミュニケーション方法や情報収集法の変化

iPhoneをはじめとしたスマートフォンが普及したことで、私たちの生活やコミュニケーションスタイルには、次のような変化が起こりました。

・インターネットへのアクセスが容易になり、またスマートフォンの普及と相まって、テレビや新聞などのマスメディアからだけでなく、インターネットからも大量の情報を得られるになった
・コミュニケーション手段が、通話から、メールやSNS、チャットアプリなどを用いたテキスト主体に
・スマートフォンを用いた二次元コード決済の普及による、キャッシュレス決済の加速


モノを所有せず、共有・利用する価値観の広がり

長引く景気の低迷や非正規雇用の増加などにより、モノを所有するのではなく「共有する」「必要なときに利用する」という志向が高まってきています。同時に、シェアリングサービスやサブスクリプションサービスも多数生まれ、「モノは所有せず、必要な時に利用する」という価値観がさらに広がっています。


働き方の多様化

従来から、育児や介護、通院などと両立しやすい働き方を求める声が挙がっていましたが、改善に向けた動きは鈍い状況が続いていました。
それが、2010年代後半より政府が「働き方改革の実現」を掲げ、長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇など実現するための各種政策を進めたこと、さらには、新型コロナウイルス感染症の流行によりテレワークが普及したことなどにより、「フルタイム雇用で、出勤して働く」以外の多様な働き方が広がってきています。




パラダイムシフトが加速している要因とは

かつては、数十年ないし百年単位で起こっていたパラダイムシフトですが、ここ十数年は、さまざまな場面で起こっています。その要因としては、技術革新をはじめ大きく次の3つが挙げられます。

デジタル技術の発展

スマートフォンや、5Gや光回線といったネットワークの高速化・大容量化を実現する技術、IoT、AI、クラウドなど、情報・通信技術の発展・進化は、人々の生活や価値観だけでなく、ビジネスシーンにおいてもパラダイムシフトを生み出す大きな要因になっています。


インターネットの普及

デジタル技術の発展と社会への浸透を下支えしたのが、インターネットです。インターネットの普及とデジタル技術の発展が両輪となり、情報、人、モノをより密接に結びつけたり、インターネットがなかった時代にはできなかったことを可能にしたりしています。


新型コロナウイルス感染症の流行

新型コロナウイルス感染症の流行は、人と人が直接会って何かをすることに大きく制限をかけるものとなりました。それは、働き方や対人サービスのあり方、消費スタイル、コミュニケーションスタイルなどを大幅に見直す機会となり、変化を生み出しています。


作成/MANA-Biz編集部