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2022.09.07

EdTech(エドテック)とは?テクノロジーにより実現する多様な学び方

知っておきたいトレンドワード17:EdTech

テクノロジーの発展により教育分野にさまざまな変化が起こっている。この教育分野における技術革新「EdTech」によって教育手法や学び方は具体的にどう変わるのか?

EdTech(エドテック)とは

EdTech(エドテック)は、Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語です。テクノロジーを用いて教育を支援する仕組みやサービスを指して使われていますが、定義はまだ定まっておらず、AIなどの先端技術を用いた革新的な教育支援の仕組み・サービスや、テクノロジーを用いて生み出された従来の教育・学習にはない仕組みやサービスに限定して使われる場合もあります。
例えば、経済産業省や文部科学省は、EdTechを次のように定義しています。

「AI、IoT、 VR等のテクノロジーを活用した革新的な能力開発技法」(経済産業省)
「教育におけるAI、ビッグデータ等の様々な新しいテクノロジーを活用したあらゆる取組」(文部科学省)

EdTechに分類できるサービスには、学習者向けの学習コンテンツ(オンライン学習ツールなど)や学習支援ルーツ(学習記録・管理ツールなど)、学校教員のための授業支援システムや校務支援ツール、学校での使用を主眼に置いたSNSなどがあります。

eラーニングとの違い

eラーニングは、現在はICT端末を用いた学習の総称で、EdTechの一つと言えます。そして、EdTechが注目されるずっと前からテクノロジーを用いた学習方法として実施されてきました。

eラーニングは、学習・研修用の教材が入ったCD-ROMとパソコンを用いた学習に始まり、インターネットのブロードバンド化により、インターネットを介して配信される教材にアクセスして学ぶ学習が広がっていきました。さらに、情報技術の発展にともない、オンラインでつながっての双方向性のある学習、スマートフォンやタブレット端末などスマートデバイスからアクセスしての学習と、学習形態に広がりが見られています。
そしてEdTechが注目されている今、AIが学習者の解答の傾向に応じて個別に出題内容を変えるといった仕組みも出てきており、eラーニングは新たな段階に進み始めています。




EdTech(エドテック)により起こっている学び方の変化

EdTechによって、私たちの学び方にも変化が生まれています。変化の要因や具体例を5つ紹介します。

オンライン学習:時間・場所を問わない学びが可能に

大規模オンライン公開講座(MOOC:Massive Open Online Course)のプラットフォームサービスや各種オンライン学習サービス、インターネットサービス網、スマートデバイスの広がりにより、子どもから社会人までだれでも、インターネット環境さえあれば時間や場所にとらわれずに世界中のオンライン学習ツールにアクセスし、学ぶことが可能になってきています。


アダプティブラーニング:個別最適化した学びが可能に

アダプティブラーニングとは、学習者一人ひとりの学習進度や理解度、習熟度に応じた教材や方法で学ぶことです。AIなどの技術の進展により、個々の学習の進捗や解答の正誤情報などを分析し、理解度や弱点に応じた教材や学習すべき内容を提示する仕組みやサービスが開発されています。これらにより、個別最適化した学びが可能になってきています。


擬似体験学習:現実では難しい学びの擬似体験が可能に

VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術を用いることで、時間や場所の制約のない擬似体験学習が可能になってきています。例えば、人材育成の分野では、接客や調理、製造などの研修をはじめ、事故・災害対応など現実での実施が難しいまたは不可能な研修などにも活用されています。また、学校教育においては、社会科見学代わりのバーチャルトリップや、人体や建造物の構造など普段は見ることが難しいものをさまざまな角度から見て学ぶことなどに活用されています。


多様な学習ツール:個人に合った学び方の実現

EdTechにより、これまで主流であった「対面で、集団または個別に指導を受ける」という学び方以外の学び方が多様に存在する社会の実現が可能になってきます。個々人が自分の目的や好みに合ったツール・環境で学ぶとことをしやすくなると同時に、学習者の主体的な判断・選択も求められるようになります。


学習管理:効率的な学習管理による教育効果の最大化

学習の進捗や成績状況などを把握し、個々に適した教材を提示・配信するといった学習管理の分野は、EdTechによってさらなる進化が期待される分野です。学習管理を効率化することで、教育効果の最大化も図れるでしょう。eラーニングのプラットフォームとして大学や企業で広く使われているLMS(Learning Management System:学習管理システム)の進化や、そのほかのツールの開発が期待されます。


学習ツールに取れ入れられる「ゲーミフィケーション」

ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素(ゲームデザインやゲームの原則など)をゲーム以外のものごとに取り入れ、利用者の動機づけを高める手法です。このゲーミフィケーションの手法が、学びの場に取り入れられ始めています。例えば、学習者を表現したアバターや、目指したいと思える目標、進捗に応じたポイント加算、対戦型で競争心を掻き立てたり、仲間意識を実感させるといったゲーム的な要素を学習ツールに盛り込むことで、学習者の興味喚起、学習継続といった効果が期待されています。




企業でも取り入れられている
EdTechの先進事例

EdTechが企業にも取り入れられている事例があります。

ハイラブル株式会社が学校向けに開発した対面での話し合いを見える化するクラウドサービス「Hylable Discussion」は、「いつ」「誰が」「どれぐらい」話したかを定量的に分析し、参加者個々人の「発話量の時間変化」「総発話時間」「発話交代の回数と順番」などを可視化するサービスです。
同社はこのサービスを企業研修、さらには、オンライン会議の場にも展開し、同様の機能を搭載したクラウド型Web会議システム「Hylable」を2020年にリリースしています。


作成/MANA-Biz編集部