働き方

働きがい・働きやすさを高めるチームとオフィスの作り方【コクヨ事例あり】

公開日:2024.6.27

執筆:コクヨコラム編集部

#エンゲージメント #コミュニケーション #チームビルディング #制度

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働きがい・働きやすさを高めるチームとオフィスの作り方【コクヨ事例あり】

コクヨ梅田ライブオフィス

コロナ禍などを経て働き方や働く場が変化するのと同時に、働く人の価値観や考え方、ワークライフバランスやキャリアパスの多様化も進んでいます。言い換えると、何のために働くか、何に働きがいを感じるか、さらには、会社を選ぶ基準の変化でもあります。

働きやすい環境を整えてもなお、少子高齢化や人手不足という背景も相まって、採用難や離職率に悩む企業は少なくありません。そこで、企業の魅力や競争力として「やりがい」や「働きがい」向上に取り組む動きもみられます。

そもそも「働きがい」とは何でしょうか?どうすれば上げることができるのか、コクヨの研究内容を含め、詳しく解説します。

<オンラインセミナーイベントのお知らせ>
「働くのミライ会議 vol.4」~「働きたい」のつくり方と育て方~

7月3日(水)~4日(木)、働きがいをテーマにしたオンラインセミナーを開催します。 話題の企業や著名人×コクヨのトークセッションを6つ配信、「働きがい」や「働きやすさ」、そしてさまざまな課題について、すぐに使えるヒントや事例をお届けします。

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■開催期間:2024年7月3日(水)13:00~
      2024年7月4日(木)11:00~
■コンテンツ:全6セッション、各50分、LIVE配信
■ご視聴:無料、事前申し込み制
■テーマ
マネジメント、若手の本音、コミュニケーション、制度、人事戦略など
※会社の規模や役職関係なく、お楽しみいただけます。

働きやすさ・働きがいとは?

職場における働きやすさ・働きがいとは、いったいどのようなものなのでしょうか。はじめに、それぞれの関係性や、注目されている背景について解説します。

働きやすさは、働きがいの前提

2019年に厚生労働省が発表した「令和元年版労働経済の分析」(以下、「労働経済白書」)では、働きやすさ・働きがいが示すものを以下のように捉えています。

・働きやすさ:従業員が安心して快適に働ける職場環境
・働きがい:従業員が生き生きと誇りをもって熱心に働ける職場環境

別の表現をすると、

「働きがい」は、仕事への積極的な関わりを促すもの
「働きやすさ」は、積極的な関わりを阻害するものがない状態

つまり「働きやすさ」があってこそ「働きがい」が実現すると言えます。
ここで重要なのは、働きやすさと働きがいは、どちらも働く人の視点で職場環境を評価するものであるという点です。企業が制度を整えても、社員の働きがいに直結しない場合は、ここにズレの原因があるかもしれません。

労働経済白書では、人材確保のためには従業員からの評価向上が重要であること、「働きやすさ」「働きがい」を基軸とした経営改革をより実効的に行うために、労使間のコミュニケーション活性化が不可欠であることなども指摘されています。

働きやすさ・働きがいが注目されている背景

いま企業が「働きやすさ」、「働きがい」に注目している背景には、日本の労働市場が大きな変化の過渡期にあり、多くの企業が人材確保に困難を抱えている状況があります。現在の労働市場は、3つの特徴的な傾向があります。それぞれについて、解説します。

①少子高齢化による企業の人手不足
②雇用の流動化、転職の一般化
③コロナ禍を経て「はたらく」への意識が変化

①少子高齢化による企業の人手不足

日本は近年総人口が減少し、2024年中には高齢化率が30%を超えると予想される中、生産年齢人口は減り続け、全人口の60%を割り込んでいます。ポストパンデミックにおいて日本の経済活動が活発化する中、2022年以降はすべての産業で人員が不足している状況にあります。そのため、人材の採用や定着に影響を与える要素として、働きやすさ・働きがいに注目が集まっています。

②雇用の流動化、転職の一般化

企業規模別の転職入職者の割合の推移折れ線グラフ企業規模別の転職入職者の割合の推移
「令和4年度版 労働経済の分析」(厚生労働省)より

厚生労働省の「令和4年度版 労働経済の分析」によると、入職者全体における転職者の割合は、1991年から2006年頃にかけて上昇し、その後は6割程度で推移しています。大企業による早期退職者、希望退職者の募集が増えていることも、雇用の流動化の一因と考えられます。

政府の後押しもあり多くの企業が賃上げに動く中、より良い条件を求めて転職する人が増えることも予想されます。そのため、優秀な人材の採用と定着のためには、賃金以外の面でも企業の魅力を高めていく必要があり、働きやすさ・働きがいの向上が求められているのです。

③コロナ禍を経て「はたらく」への意識が変化

コクヨが2020年から2023年にかけて実施した、ポストパンデミックにおける従業員の意識変容を追った調査「WORK VIEW2023」では、この3年間で働くことに対する従業員の意識は内向化の傾向にあることが明らかになっています。興味・関心の範囲や対象が、以前よりも自身の内面や身近な同僚に傾いていることが推測されます。

ワーカーの意識変容を表した図 ワーカーの意識変容を表した図
WORK VIEW2023より

<より詳しく>
在宅勤務の一般化により、自分の意思で仕事やキャリアをコントロールする機会が増え、チャットやグループウェアなどによって、チームメンバーと話しやすく助け合えるといった点でプラスの体験が増えました。その一方、新しい人との出会いなどによる人脈の拡張や、自分らしさの自信といった面でのポジティブな体験は減少しました。

また、従業員の仕事観においては、仕事に対するオーナーシップの向上や専門性の構築に意欲を持つ「オンリーワン志向」が弱まり、いつもと変わらぬ日常性を大切にしたい「安定志向」が強まっています。

これらのことから、全体感としては、従業員の興味・関心の範疇が自己の内面や身近なところに向いていると推察されます。この傾向に明確な良し悪しはありませんが、それぞれの企業が求める人材像や、生み出したい価値によっては、働く場や働き方、働く場での体験を変化させ、働きがいを高めていく必要があるかもしれません。

そういった意味でも、「働きやすさ」や「働きがい」は企業にとって重要な要素となっています。

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従業員の「働きがい」を高める組織のあり方 マナビズ

働き方改革の次は、働きがい改革

窓際の執務席で業務をする会社員 コクヨ名古屋ライブオフィス
テーブル「Work Vista Light(ワークヴィスタライト)」、チェアー「ing(イング)」、
Mtra2(ミトラ2)

次に、企業が「働きがい」に力を入れるべき理由を、近年の社会と企業の動きから見てみましょう。

2019年から働き方改革関連法が順次施行されたことにより、残業時間の抑制、年次有給休暇の取得促進、多様で柔軟な働き方の推進など、企業における働き方改革が進みました。また、パンデミックにより在宅勤務やハイブリッドワークが一般化し、働き方の面で従業員の働きやすさ向上に取り組む企業は増えています。

しかし、労働経済白書によると、人手不足の緩和に向けて求人条件の改善や採用の強化に取り組む企業は多い一方で、離職率低下や働き方の向上に取り組んでいる企業の割合は少ないことがわかりました。

人手不足の緩和に向けた企業の取り組み内容の棒グラフ人手不足の緩和に向けた企業の取り組み内容
令 和 元 年 版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」骨子版(厚生労働省)

採用に力を入れて人材を確保しても、その人材が組織に定着しなければ人手不足は解消しません。給与や労働条件のほかに、組織や仕事において働きがいが感じられるかどうかは、企業人材の定着をはかる上で非常に重要な要素です。人材の流動性が高まる中、働き方改革の次に企業が取り組むべきことは「働きがい改革」であると言えるでしょう。

企業が従業員の働きがい対策を行うメリット

7_job-satisfaction2024.jpgコクヨ名古屋ライブオフィス
テーブル「INITIA(イニシア)」、チェアー「cuna(クーナ)

企業が従業員の働きがい向上を目指して対策を行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。労働経済白書では、従業員の働きがい(ワークエンゲージメント)向上に取り組むことで企業がさまざまなメリットを得られる可能性が示唆されています。

以下、働きがいと、企業にとって好ましいさまざまな成果・効果(アウトカム)との関係性の中から、働きがい対策のメリットを探っていきます。

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働きがいと新入社員の定着率、働きがいと従業員の離職率の棒グラフ働きがいと新入社員の定着率(左)、働きがいと従業員の離職率(右)
「令 和 元 年 版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」骨子版(経済産業省)

人材の定着

従業員の働きがいが高いほど、新入社員の定着率(入社3年後)が上昇し、従業員の離職率が低下する、という相関関係がうかがえる調査結果が出ています。

いずれも因果関係が逆である可能性(定着率が高い企業だから働きがいがある、等)にも留意が必要ですが、さまざまな先行研究からも、働きがいの向上が人材の定着にポジティブな影響を与えている可能性が示唆されています。

働きがいと労働生産性、働きがいと顧客満足度に関する企業の認識の棒グラフ働きがいと労働生産性(左・中央)、働きがいと顧客満足度に関する企業の認識(右)
「令 和 元 年 版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」骨子版(経済産業省)

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生産性向上や顧客満足度の向上

働きがいが高いほど個人の労働生産性や企業全体の労働生産性が高く、顧客満足度も高い、という相関関係がうかがえる調査結果も出ています。こちらも、因果関係が逆である可能性に留意が必要ですが、働きがいの向上が生産性向上や顧客満足度向上につながる可能性が示唆されています。

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従業員の心身の健康

働きがいが高いほど、従業員のストレス・疲労感が低い、という相関関係がうかがえる調査結果も出ています。ただし、働きがいが高いほどワーカホリズム(過度に一生懸命に働く傾向)に陥りやすい傾向も確認されているため、従業員の心身の健康を守るためには、働きがいを高める一方で、従業員がワーカホリズムの状態に陥らないよう注意する必要があります。

働きがいとと従業員のストレス・疲労感働きがいとと従業員のストレス・疲労感
「令 和 元 年 版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」骨子版(経済産業省)

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従業員の働きがいを高めるポイント

オフィスのミーティングスペースで集まって談笑する社員グループコクヨ梅田ライブオフィス
テーブル「SENTIR(センティア)」、チェアー「ingLIFE(イングライフ)」、 パーティション「フォーレムービングパネル

前章で見てきたように、従業員の働きがい向上に取り組むことで、企業はさまざまなプラスの成果を得られる可能性があります。それでは、従業員の働きがいを向上するために、企業はどのような取り組みをするべきなのでしょうか。

労働経済白書より、働きがいの高い企業での実施率がとくに高かった取り組みを見てみましょう。雇用管理の面では「職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化」「労働時間の短縮や働き方の柔軟化」「業務遂行に伴う裁量権の拡大」、人材育成の面では「指導役や教育係の配置(メンター制度等)」「キャリアコンサルティングなどによる将来展望の明確化」などがあります。

※グラフ出典:厚生労働省「令 和 元 年 版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」骨子版P.7より

従業員の働きがいが高い企業の取組の棒グラフ従業員の働きがいが高い企業の取組
「令 和 元 年 版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」骨子版(経済産業省)

これらの要素は、コクヨが2023年に行った「働きがい」についての調査の結果とも共通しています。以下、企業が従業員の働きがいを高める取り組みのポイントを、コクヨの調査結果から導き出された「職務のデザイン」「情報のデザイン」「コミュニケーションのデザイン」という3つの観点からご紹介します。

職務のデザイン

オフィスのミーティングスペースで集まって談笑する社員グループコクヨ梅田ライブオフィス
テーブル「Any Table(エニーテーブル)」、ソファ・スツール「Any sofa(エニーソファ)」、チェアー「Any(エニー)

職務を設計する際のポイントは、職務に従業員の思想や意見が反映されるような裁量を与えるとともに、仕事の社会的意義や、自己成長・達成感などの手ごたえを実感できるようにすることです。従業員の多くは創意工夫による自己表現や、学びや手ごたえが得られる職務に働きがいを感じる傾向があります。

取り組みの例としては、仲間内で職務の意義を伝え合う活動や、従業員の専門性の育成、従業員の個人的な関心にまつわる知の育成、異なる職務の兼務による創造性の育成などが推奨されます。

働きがい向上の取り組みを進める際には、仕事を「やらされている」のではなく、自分の関心にもとづいて主体的に「やっている」状態を作る「ジョブ・クラフティング」の考え方も活用できます。

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働き方用語辞典 「ジョブクラフティング」

情報のデザイン

オフィスのミーティングスペースで集まって談笑する社員グループコクヨ梅田ライブオフィス
テーブル「Any Table(エニーテーブル)」、ソファ・スツール「Any sofa(エニーソファ)」、チェアー「Any(エニー)

職場における情報機会には、人との出会いなどによって新たな情報を得る機会や、組織の規範や政治の認知、上司・部下間や同僚間での意思伝達やアドバイス、フィードバックなどがあります。

その中でも働きがいに好影響を与えやすい情報機会としては、以下の項目があげられます。

・「経営や上司から仕事やキャリアへの助言を得る」
・「行動規範・経営思想・ユーザーの意見などから、求められるふるまい方を知る」
・「自分の志向や知識や同僚は経営に伝える」

これらを促進する取り組みの例としては、客観的な正解のないテーマに関する対話や、組織知を共有する「ピープル&カルチャーブック」の制作、個人と経営の相互アドバイスなどが考えられます。

コミュニケーションのデザイン

窓際のミーティングスペースで談笑する社員コクヨ名古屋ライブオフィス
テーブル「Region(リージョン)」、チェアー「SETTLE(セトル)

コミュニケーション(交流)によって働きがいを高めるためには、上司・部下間や仲間内での程よい距離感がポイントです。

常にチームが共通の場に集まって活動すべきというわけではなく、ひとりで思索する時間と、それを持ち寄って協議する時間との両立が求められます。

これを実現しやすい働き方の例として、「ハイブリッドワーク」があります。

<ハイブリッドワークの特徴>
ハイブリッドワークは、出社や在宅、リアルでの会議やリモート会議を組み合わせた働き方です。

・会議などの形態:オンラインとオフライン
・勤務する場所:オフィスや在宅

働き方やコミュニケーションの形式が多様な「ハイブリッドワーク」は、人間関係の改善が期待できます。

コミュニケーションで働きがいを高める具体的な取り組みとしては、チームの方向性・アイデア・活動をメンバー同士で試行錯誤し、ビジョンへの腹落ち、アイデアや意見の結合、チームでの協働などを促すことが有効です。

これを実現するには、オフィスに集合する際にチーム方針やアイデアを協働的につくる機会が必要になるため、それに適した空間づくりが求められます。

働きがいを高めるチーム作り

ミーティングスペースに集まって発表を聞く社員コクヨ梅田ライブオフィス
チェアー「All in One(オールインワン)

ここまでは、企業が従業員の職務や情報、コミュニケーションを設計する際の、働きがい向上のポイントをお伝えしてきました。では、個々の職場、チームといった単位で働きがいを高めていくにはどうすればよいのでしょうか。

コクヨでは2021年に、3000名を越える従業員を対象にアンケート調査を行い、働きがいを感じやすいチームカルチャーについて分析しました。そこから分かったのは、働く上での個人の価値観と、チームのカルチャー(文化)は共通する4つの要素で構成されており、働きがいの向上には個人の価値観とチームのカルチャーのバランスが大切だということです。

①「Challenge(挑戦心・ハングリー精神)」
②「Cultivation(成長意欲・自主性)」
③「Cooperation(協調性・関係重視)」
④「Customization(自分らしさ・柔軟性)」

これら4つがチームにおける働きがいに影響を与えるとされています。

①Challenge(挑戦心・ハングリー精神)


大きな課題や責任に挑戦する、個人の指向性やチームのカルチャー

チームの働きがいを向上するには、挑戦心の似通ったメンバーを集めつつ、それぞれの挑戦する分野に多様性を持たせることがポイントです。「この分野においては、自分は他のメンバーよりも挑戦的だ」と感じられることが個人の自信につながるためです。

②Cultivation(成長意欲・自主性)


自主的に成長や行動を起こす、個人の指向性やチームのカルチャー

チームの成長意欲が個人の成長意欲よりも高い場合に、組織へに対する個人のエンゲージメントが高まる傾向があります。成長を促すリーダーの配置や、大きな課題に挑む業務の設計が効果的です。

③Cooperation(協調性・関係重視)


仲間との協働を好む、個人の指向性やチームのカルチャー

協調性や関係重視の度合いが個人とチームとで似通っているほど、働きがいが高まりやすい傾向があります。協調体験のワークショップや、スキル・経験を語り合う対話などに取り組み、従業員が協調のきっかけを見つける機会を作るとよいでしょう。

④Customization(自分らしさ・柔軟性)


職務や働き方を自分流に設計する、個人の指向性やチームのカルチャー

従業員が自分以上に組織の柔軟性が高いと感じるときに、働きがいが高まりやすい傾向があります。個人が自分らしさを受け止める働き方ができるような、チームの目標や行動指針の設定を行うことがポイントです。

働きがいを高めるオフィス空間

ソファーのある座席で談笑する社員コクヨ梅田ライブオフィス
テーブル「Region(リージョン)」、ソファー「OSFA(オスファ)」、チェアー「ingLIFE(イングライフ)」、「pallo(パロ)

また、従業員の働きがいを高める上で、オフィス空間づくりは重要な要素です。

コクヨの調査では、「出社中心」「ハイブリッドワーク」「フルリモート」という3つの働き方のうちもっとも働きがいが高まるのは、出社とリモートを組み合わせた「ハイブリッドワーク」であることがわかっています。

リモート勤務を取り入れた働き方において、オフィス空間にはどのような役割が求められているのでしょうか。

働き方とコミュニケーションの使い分け

ハイブリッド、フルリモート、働き方は異なりますが、コミュニケーションの取り方は業務や会話の特性に合わせて使い分けがみられます。

・遠隔でもよい内容
 資料のやりとりや業務連絡など、単に情報をやりとりする業務
・リアル(オフィス)がよい内容
 雑談、相談、意思決定など感情や想い、考えを取り扱う情緒的なコミュニケーション

これらのことからオフィスでは、意思や感情、アイデアを引き出すコミュニケーションの場としての役割が求められているといえます。打合せから協働まで、柔軟に対応できる空間が必要です。

・気軽なチームミーティングやメンバーが集まってワークショップや研修ができる空間
・アイデアやブレストなど発散型の議論に適した解放感ある空間

また、オフィス空間は経営から従業員へのメッセージにもなり得ます。どのような組織を目指しているのか、組織のビジョンを立ち上げるとともに、それに準じた従業員の行動を促進するオフィス空間を整備しましょう。

■導入事例
国土交通省航空局安全部働き方改革の事例

【国土交通省航空局安全部】働き方改革
「働きやすさ」から「働きがい」へ、魅力的な労働環境に向けてオフィスを刷新

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国土交通省航空局安全部では、航空行政をめぐる環境変化や、働き方に対する人々の意識変化への対応が課題となっていました。そこで、組織として目指すべき姿を「ビジョン」として明確化し、その中に「働きがい溢れる職場」を位置付けました。

フリーアドレス制の導入やペーパーレス化の推進を行い、座席数の削減や、打ち合わせスペースの充実など、魅力的な労働環境に向けてオフィスの変革を実施。以前は従業員のオフィスに対する満足度が30%だったのが、リニューアル後は70%までアップしました。

【企業事例】働きがいを高めるコクヨ社内の取り組み

ここまで、コクヨの調査や長年の経験から導き出した、働きがいを高めるチーム・オフィスづくりのポイントを解説してきました。

コクヨでは、働き方とオフィスづくりに関する専門性を生かしながら、働きがいを高めるさまざまな取り組みをトップダウンとボトムアップの両輪で行っています。
ここでは、その一部をご紹介します。

①働く意義や手ごたえを高める(職務のデザイン)
②組織知を獲得し、意思を表現する(情報のデザイン)
③ビジョンの共有と相互交流を促す(コミュニケーションのデザイン)

①働く意義や手ごたえを高める(職務のデザイン)

コクヨでは、従業員が自己の裁量で学びと成長の機会を得ることができる仕組みを用意しています。

「20%チャレンジ」は、社員が自ら手をあげ、業務時間の20%程度を活用して他組織の業務にも参画する社内副業制度です。主体的なキャリア形成・能力向上と、組織活性化の後押しを目的に、2020年から始まりました。成果や貢献も個人の実績評価に加味する形で運用し、社員は所属事業や組織をまたいだテーマにチャレンジしています。

②組織知を獲得し、意思を表現する(情報のデザイン)

スツールのあるミーティングスペースで会議をする社員コクヨ品川ライブオフィス
テーブル「INITIA(イニシア)」、チェアー「JOIN(ジョイン)

働きがいを高めるためには、組織における行動の規範を身に付けるとともに、周囲からのフィードバックを得ることも有効です。また、周囲と相互に情報をやりとりし、組織の中で誰がどのような情報を持っているのかを知ると同時に、自分の持っている情報を周囲に役立てる機会も求められます。

<コクヨアカデミア>
その一環として、コクヨでは2024年に人材育成機関「コクヨアカデミア」をスタートしました。ここでは、社員の等級や職種に応じて、グローバルやデジタル、クリエイティブ領域をはじめ、コクヨのメンバーとして求められる様々な知識・スキルを学ぶことができます

<コクヨマーケティング大学>
また、社会人経験3~12年目の若手層を対象とした経営答申型実践プログラム「コクヨマーケティング大学」、30−40代の中堅リーダー層を中心にした「コクヨマーケティング大学院」も展開しています。

これらは、戦略やマーケティングについて学んだあと、外部のプロフェッショナルによるコーチングを受けながら新規事業企画案や経営戦略を作成し、経営に答申するプログラムです。これらの取り組みが社員間の交流や個々のスキルアップにつながり、マーケティング大学院からは「Hello ! Family.」「pandoor(パンドア)」などの新事業が生まれています。

<マナビシェア>

18_job-satisfaction2024.png社員による知識やスキルの共有「マナビシェア」の様子
リモートによる実施で離れた拠点間でも参加ができるのが特徴

個々の社員が自発的に知識やスキルを発信する機会としては「マナビシェア」があります。これは、事前にテーマを決めて、コクヨのメンバー同士で業務時間外に学び合う勉強会で、内容が業務に関係するかどうかは問いません。

年に1回、公募の社員講師によるマナビシェアが一同に会するイベント「マナビEXPO」を開催し、出展した社員講師と参加社員には福利厚生に使えるポイントが付与されます。個々の社員が持っている情報を組織に役立て、社員同士で教え合うことが、講師と受講者双方のモチベーションにつながっています。

ビジョンの共有と相互交流を促す(コミュニケーションのデザイン)

コクヨでは、ハイブリッドワークを推進する中で、オフィスの役割としてチームの方針やアイデアの共有を促す場づくりにも取り組んでいます。そのために、さまざまなコミュニケーションに適したエリアを設けています。

<品川ライブオフィス「育む」フロア>

横並びの座席で業務をする社員コクヨ品川ライブオフィス
テーブル「Franka(フランカ)」、チェアー「pallo(パロ)」、「Monet(モネット)」、スツール「CK-750

コクヨ品川オフィス「THE CAMPUS」は、各階ごとに働き方のコンセプトをもたせたABWオフィスです。なかでも、「育む」と名づけられたフロアは、上下左右の関係を育むことを目的とし、役員・社員、先輩・若手が同じ空間で執務できる空間になっています。
特に、新入社員や若手社員とチューターが集まれるエリア「フレッシャーズシート」を設けています。

これは、フリーアドレスオフィスやハイブリッドワーク下において、若手社員に生じていた人脈の作りにくさや成長実感の低下といった課題の解決に向けて、「心理的安全性を確保し、社会性を育む場」を設けたものです。

2020年当初から試行錯誤を重ねながら運用を続け、結果として若手だけでなく、多くの人が集まるフロアになり、社内人脈を広げるきっかけづくりに貢献しています。

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<1o1エリア、ブースの設置>

遮音性の高いブースが並ぶエリア
コクヨ梅田ライブオフィス
WORKPOD FLEX(ワークポッドフレックス)

ほかにも、コクヨでは多くの拠点に遮音性の高いブースや、吸音素材を用いたパネルで囲まれた座席やエリアを設置しています。1on1だけでなく、周囲の音が気になるオンラインミーティングやじっくり相談したいとき、センシティブな込み入った話がしたいときなどさまざまな用途に向いています。

フリーアドレスオフィスに限らず固定席のオフィスにおいても、会議室や個室が確保できない場合、面談や相談などもオープンスペースで行わなければならないことがあります。

プライバシーや心理的安全性を保つためには、音に配慮したパネルで囲まれたブースや1on1専用の集中ブースの利用がおすすめです。「WORKPOD FLEX(ワークポッドフレックス)」は1人用から1on1用、複数人で使用できるタイプなど多様なバリエーションがあり、また空間になじむ意匠性の高いデザインやカラーも人気を集めています。

ライブオフィスでコクヨの働きがい改革を体感

カジュアルなオフィス空間で社員が快適に働く様子コクヨ品川ライブオフィス
テーブル「Franka(フランカ)」、「SENTIR(センティア)」、チェアー「ingLIFE(イングライフ)」、「Liite(リーテ)」、ソファー「OSFA(オスファ)

ここまで、企業が働きやすさ・働きがい向上に取り組む意義や、働きがいを高めるチーム・オフィスづくりについてお伝えしてきました。

働きがい向上に必要な施策は、業種や職種、個々の従業員の価値観やチームのカルチャー、企業が目指す将来像によっても異なります。そこで、コクヨではそれぞれの組織の課題やビジョンに合わせて、生産性と働きがいUPを推進するサービスを提供しています。

コクヨでは、企業における「働きやすさ」や「働きがい」の重要性にいち早く着目し、自社の人材育成や組織作り、オフィス作りに取り入れています。

自社の「働きやすさ」や「働きがい」に課題を感じたり、解決策やヒントをお探しの場合は、ぜひコクヨのライブオフィスをご見学されることをおすすめします。

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